集結 ページ24
この女の帯は少々厄介だ。男の鎌との連携ともなればさらにこちらが厳しくなる。
それに宇髄は毒を食らっている。俺よりも慣れているとはいえ、長期戦になれば辛くなるのは目に見えている。
かと言って、上弦の鬼相手に短期戦に持ち込めるかはわからない。
｢あの二人同時に頸を斬る。合わせろ。｣
｢！…了解した。｣
俺達が飛び出したと同時に向こうも攻撃を仕掛けてくる。
帯を蹴り返しながら、女の鬼、堕姫に向かって拳を振るう。
投げられた宇髄の火薬玉を避けながら堕姫の鳩尾に一発入れる。
ドドドンッッ！！！！
大量の爆発で視界が悪くなる中、堕姫を見ると首が斬れている。
俺は首に足が届いていなかった。
…宇髄、君がやったのか。
まったく、俺は足でまといだな。
｢ッッ！？ちっ、｣
堕姫の近くにいた俺を攻撃するためか、血鎌がとんでくる。
くそ、まだこちらに意識を向ける余裕があるのか。
｢宇髄！！一旦分かれるぞ！！｣
｢！ああ、！｣
俺は堕姫の動きを止めるため、飛び出す。
狙いは腹。
｢こうしている今も俺達はジワジワ勝ってるんだよなああ。｣
《灰の呼吸 壱ノ型、火飛槍拳》
｢それはどうかな！俺を忘れちゃいけねぇぜ。この伊之助様とその手下がいるんだぜ！！｣
ドスン、と手応えあり。
｢ぎぃ、グゥッ……ッッが、はっ、｣
ぽたぽたと、俺の腕に血が滴る。
俺の腕は見事、堕姫の腹を貫いていた。
*
(あっ、…れ、)
宇髄さんの前に着地したと同時に響く音。
見えたのは、鬼の腹に突き刺さるAさんの腕。
その瞬間俺の中の記憶が溢れる。
はあはあ、と息が苦しくなる。
目の前があの時と重なる。
＿＿＿＿＿＿＿＿煉獄さん、
チカチカと、光る。
その光景をみた俺にAさんはこちらを見ずに俺に言った。
｢苦しいか。なにか嫌なことでも思い出したか。｣
苦しい、確かに息苦しい。
嫌なことを思い出したんだ、俺は。
｢すまない、耐えて欲しい。君が鬼殺隊であるならば。｣
言葉の一つ一つが刺さる。
耐えなければ、耐えなければいけない。
俺が鬼殺隊であるなら、？
｢君が、俺を許してくれるのなら。｣
それは一瞬のできごと。
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年11月3日 23時
