集結 ページ22
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Aが一般人を連れて出たのを見計らい宇髄は妓夫太郎達に火薬玉を浴びせる。
ぱら、と焼け飛んだ木が落ちてくる中、煙が晴れて見えたのは球体。
どうやら女の鬼、堕姫の帯で衝撃から身を守っていたらしい。
「お前違うなぁ。今まで殺した柱たちと違う。
お前は生まれた時から特別なやつだったんだろうなぁ、選ばれた才能だなぁ。
妬ましいなぁ、一刻も早く死んでもらいてぇなぁ。」
つらつらと並べられる妓夫太郎の言葉に宇髄は青筋を立てながら言い返す。
「俺に才能なんてもんがあるように見えるか?
この国はな広いんだぜ。
得体の知れねぇ奴もいる。刀握って二月で柱になるような奴もいる。
俺が選ばれてる?ふざけんじゃねぇ!
俺の手のひらから今までどれだけの命が零れたと思ってんだ!!」
そう言い切る宇髄に、妓夫太郎は顔を顰め、また体を掻き始める。
かなり苛立っているのか爪をたて掻きむしった肌からは血が滲んでいた。
彼の鎌には猛毒があった。
一度この刃に切られれば、すぐ死ななくともじわじわと毒が相手を追い込んでいく。
初めは毒が聞いている様子もなかった宇髄だったが、少しずつではあるが確実に、毒に蝕まれていた。
「ひひっ、ひひひっ、やっぱり毒効いてるじゃねぇか、じわじわと。効かねぇなんて虚勢張ってみっともねぇなああ、……ひひひっ。」
「いいや、全然効いてないね、踊ってやろうか。」
「いいや、踊る必要はないぞ。」
新しい声が加わる。
そこにはAがいた。
Aの瞳には隠しきれない怒りが見えていた。
「京極…、」
「そんな証明をしなくとも君は大丈夫だ。俺が保証しよう。」
キッ、と妓夫太郎達を睨むA。
「なんだまた柱か?…だが、そこの奴よりも弱ぇなお前。
……わかる、わかるぜぇ?
テメェは、恵まれてない側の人間だろお。」
ニヤリと笑った妓夫太郎の言葉にAは眉間に皺を寄せた。
「努力だの、無理だのしても、無駄なんだぜ…?
何故なら、そういう奴には
「…ああ、そうかもしれないな。俺は恵まれなかった人間かもしれん。」
「ひひ、そう気を落とすなよぉ、仕方ねぇことだ。」
Aは静かに、ぎゅぅぅぅ、と拳を握りしめた。
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作者名:きょーりん | 作成日時:2019年11月3日 23時