風穴 ページ20
ズバッ、と目にも止まらない速さで帯を切り伏せた。
ハラハラと、紙吹雪のように散らばる帯。
恐らく、食料も失い、爆散させられた後にこの仕打ちだ、この帯はもう俺たちに襲いかかることはしないだろう。
が、チラホラと地上へ流れたものもあるようだな。
「天元様……。」
「まきを、須磨、遅れて悪かったな。
こっからはド派手に行くぜ。」
ニコリと奥さんを安心させるように笑った宇髄はその笑顔を俺たちに向けることはなく。
「おぉい、京極ゥ、テメェこんな雑魚に手こずってんじゃねぇよ。」
「す、すまない。やはり君は強い。俺も精進しなくてはな。」
「俺は神だから当然だろ。」
肩を強めに小突かれて、思わず声を窄める。
いやはや、本当に不甲斐ない。
柱として、未熟である。
「オイィィ、祭りの神テメェ!!蚯蚓帯共が穴から散って逃げたぞ!!!」
「うるっせえぇ!!捕まってたヤツら皆助けたんだからいいだろうが。まずは俺を崇め讃えろ。話はそれからだ!!」
嘴平くんが宇髄に臆せず怒鳴ると、案の定宇髄も負けじと声を張った。
……奥さんの前だけど、いいのか。
そんな一悶着もありつつ、俺たちは地上に出て、鬼を探すことになった。
宇髄は持ち前の速さでもう見えなくなってしまった。
奥さん達にはこの遊郭に残っている人達の避難を任せた。
俺も走るが宇髄ほど速くはないからなあ。
宇髄よりも到着が遅れてしまうが、何とかなると思う。
「して、我妻くん、君、寝てるのか?」
「!」
少し速度を落として、そう問いかけた。
もし、寝ているのなら起こした方がいいんじゃ、?
「A、コイツ寝てた方が強いからそのままにしとけよっ。」
そう言われ、我妻くんをもう一度見ると、大きな鼻ちょうちんが。
……ま、まあ、人にはそれぞれ戦い方があるからな。
俺のように刀が使えない者も入れば、寝ながら戦う者もいるだろう。
少し、特殊過ぎるとも言えなくもないが。
「わかった。俺は先に行く。着いたら状況を見て加勢してくれ。」
「アッ、おい!待てや!!!!」
後ろから嘴平くんの怒号が聞こえたが、知らんぷりで地面を蹴った。
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作者名:きょーりん | 作成日時:2019年11月3日 23時