*病人 ページ39
(きっと清水未来が助けて欲しかったのは陸だ。)
「敷嶌さん!」
「は、はい!」
ボーッとしてますっ、大丈夫ですか?と京子が目をパチパチさせて聞いてきたのでAはでろでろになって大丈夫ですぅ〜♡と返した。
「とはいえ、起きたばっかなのに押しかけてすまねぇな。」
「いや、そんなことはありませんよ。」
その後少し談笑した四人は帰った。
最後まで京子が帰るのを渋っていた(若干Aも受け入れていた)。
途端に静かになった病室。
二人部屋でAの隣のベッドには誰もいなかった。
あの四人はいつでも大騒ぎだから、好都合だった。
ふと、日が落ちかけている空を見る。
少しずつ星が出てきていてキラキラと光っていた。
(智司にありがとう……ちゃんと伝えなきゃな。)
さっき起きたばかりなのに閉じていく瞼。
それに身をまかせ眠りについた。
ーーー
ーー
ー
朝、Aは病院内を徘徊していた。
状態もよく、歩けるので少しでも運動をしておくためだった。
談笑スペースや、トイレ、コンビニなどを通り過ぎていく。
ある病室を通り過ぎようとしたとき、ガヤガヤと声が聞こえた。
名前を見ると【片桐智司】とあった。
なるほどな、と納得して歩きだそうとすると、後ろで病室のドアが開く音がした。
「あ、…おい!」
「私ですか?病院なので静かにお願いしますよ。」
「テメェ、助けてやったってのに。」
「え、貴方もいたんですか。」
出てきたのは相良だった。
不貞腐れたように口を尖らせた相良。
「アンタはもう歩いてもいいのかよ。」
「ええ、この通りです。」
「そうか、なら今、智司に会ってけよ。」
「いいんですか?何やら沢山いるのでは?」
「なんかあるなら出させる。それに俺お前のこと見に行くつもりだったし。」
ならお言葉に甘えて、とAは引き返した。
そっと扉に手をかけて中の様子を伺う。
ベッドに座る片桐を中心に開久の生徒が囲んで話をしていた。
Aは振り向き相良に言う。
「これ絶対タイミングおかしいですよ。馬鹿なんですか?」
「はぁ?いいから早く行けよっ!」
「ちょ、押すな、こっちは病人だぞ!?」
「うるっせー!もう歩けんだろーが!」
グイグイ背中を相良に押されAはぐぐぐ、と負けまいと背中を丸める。
「何してんだ。」
281人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちまる - 面白いです!更新楽しみにしてます(*´`*) (2018年11月4日 23時) (レス) id: baed5daad7 (このIDを非表示/違反報告)
オキ(プロフ) - 主人公の京子ちゃん溺愛っぷりいいですねw更新頑張ってください! (2018年11月4日 22時) (レス) id: 0da5fa57f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きょーりん | 作成日時:2018年11月4日 19時