＊好きだった人 ページ23
公園にAを置いて出ていった俺は昔のことを思い出していた。
ーーー
ーー
ー
俺が中三のとき、雨の中歩いていると血なまぐささが路地裏から漂ってきた。
ケンカか、と思ってその路地裏に入っていくと立っていたのは女一人だった。
その女の下にはボコボコになった男女が横たわっていた。
俺に気づいた女は何も言わず振り向いたがすぐに視線を男女に移した。
｢お、おい、｣
｢なに、｣
｢お前がコレ、やったのか…？｣
｢そうだけど。｣
存外返事をスラスラと返していく女に俺は興味が湧いた。
こんな状態で気が滅入っているように見えたがそうでもないらしい。
｢アナタも、コレに関係してるの。｣
｢…いや、初対面だけど…。｣
俺は察した。
コイツは俺にどっかに行って欲しいんだと。
ずぶ濡れで立つ女に俺は話しかけ続ける。
｢お前名前は？｣
｢……敷嶌、………敷嶌A。｣
｢俺は片桐智司だ。｣
今思えばきっと俺はこいつが放っておけなかったのだろう。
アイツにとってはとんでもないはた迷惑だっただろうが。
それがアイツとの出会い。
･
それから俺はAと行動を共にするようになった。Aはかなり強く男でも簡単に倒せてしまうほどだった。
二人で十人を相手したこともあった。全員病院送りにしてやった。
そしてある日、俺はAと出会った時のことを初めてAに聞いた。
｢智司と出会った時？…あー、あれか。｣
苦笑いしながらも俺に話してくれたA。
｢私もさ、こんなんだけど、好きだった人いたの。｣
｢運良く付き合えて、とっても幸せだったんだ。｣
いいでしょ？といたずらっ子のような笑みを浮かべ俺を見やる。
｢でも、…私の方は遊びだった。｣
｢あの人には本命がいて、……うーん、そうだな、こういうの二股って、言うんだっけ。そういう状態だった。｣
｢やっぱり、私みたいな他の人と違う気味の悪い女には、……遊びが十分、だってことだよ……ね。｣
どんどんと小さくなっていく声。
これは失敗したと思った。
こんなことを聞くんじゃなかったと、死ぬほど後悔した。
｢でも、でもね、私は………私はあの人のこと愛してたの。ずっと好きだったの。｣
｢遊びだったとしても、一瞬だけでも、私に愛を教えてくれたから。｣
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もちまる - 面白いです！更新楽しみにしてます(*´`*) (2018年11月4日 23時) (
レス) id: baed5daad7 (このIDを非表示/違反報告)
オキ(プロフ) - 主人公の京子ちゃん溺愛っぷりいいですねw更新頑張ってください！ (2018年11月4日 22時) (レス) id: 0da5fa57f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょーりん | 作成日時：2018年11月4日 19時
