私もプリンシパル (ページ38)

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＊

あれから､弦くんとまた廊下ですれ違うことはなかった｡

式の後にクラスのみんなで打ち上げすることになっていたから､

あんまりゆっくりもしていられなくて､とりあえず先に打ち上げの方に向かうことにした｡

･・・

晴歌「でもまさか糸真が東京行っちゃうなんてねー｡寂しいなー…絶対1回はこっちにも戻ってきてよー？」

糸真「わかってるって笑笑戻る時はAと一緒に来るから楽しみにしてて」

怜英「えっ…？Aと一緒にってどういうこと？Aも東京行っちゃうの？」

糸真「…もしかしてA､みんなにまだ言ってなかったの？」

『…うん､なんかその､タイミング見つからなくて…』

梨里「いつ東京にいくの？」

『…明日…なの』

梨里「明日…!? 行く日まで糸真と一緒なんだ…」

『言えてなくてごめん…』

私がみんなに頭を下げていると､糸真ちゃんがハッとした様子で話しかけてくる｡

糸真「ねぇ､まさか晴歌達にも言えてないってことは弦にも言えてないの…？」

『…廊下で会ったんだけど､途中で後輩達に追いつかれそうになって走ってちゃって…』

私がそういうと､ずっと黙っていた晴歌が口を開いた｡

晴歌「…あんた､もしかしてこのまま諦めるつもり？」

『なるべく最後まで頑張ろうとは思ったけど､もう明日には行っちゃうし…どうしようもないし…』

晴歌「まだ昼間だから！まだ時間あるでしょ！」

『でも今はせっかく晴歌達と来てるんだし…』

晴歌「あたしらはいいよ！ってか､こんなところで時間無駄にされるとあたしも困るの！何のためにあたしも糸真も弦の事諦めたと思ってんの…金やんも､あんたを応援するためにあんた諦めたんだから…あたしらの気持ちまで無駄にすんな！」

晴歌が涙目になりながら話す｡

この間､糸真ちゃんにも喝入れられて覚悟を決めたのに…私何やってんだ….

もう逃げないって決めたじゃん…諦めちゃダメだ｡

生半可な気持ちで覚悟決めたんじゃないんだから｡

糸真「A､弦からLINE来てるよ…？」

『えっ､弦くんから？』

スマホの画面を見てみると何通かLINEが来ていた｡

その内容は、

"行くな" "このまま行くな"

っていう2文｡

『…みんな､ほんとごめん｡弦くんとちゃんと話してくる』

晴歌達が頷いたのを確認して走り出す｡

これがラストチャンスだから､急がなきゃ｡