私もプリンシパル (ページ27)

今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:51,307 hit

25. ページ27

＊

みんなの元へ戻った後､私だけは足を休めるためにみんなと離れた場所にいた｡

糸真「A､足大丈夫？」

『…うん､大丈夫｡心配かけてごめんね…』

糸真「Aがちゃんと戻って来てくれたんだから､それだけで十分嬉しいよ｡このまま見つからなかったらどうしようって思ったもん」

『偶然､弦くんが近くに来てくれたおかげだよ笑』

糸真「そっかそっか｡あっ､そういえばその弦のことだけど」

糸真ちゃんの口から弦くんの名前が出て､ギグっとした。

糸真ちゃんはほんとに弦くんのことが気になってるのかな…

糸真「あたしさ､実は弦のこと気になってたんだよね｡さくちゃんはAはもう気付いてるって言ってたけど知ってた？」

『…私はさくちゃんから聞いて知っただけだよ』

糸真「そーなの？じゃあさくちゃんだけ気付いてたのかな？」

『…どうなんだろ､和央とかもわかってんじゃない？』

糸真「和央ねぇ､確かに知ってそう」

糸真ちゃんは冷静に話しているけど､同じ人を好きな友達を前にして気まずかったりしないんだろうか｡

糸真「でもね､あたし弦はもう気にするのやめようかなって」

『え…？何で…？』

糸真「あたし､せっかくさくちゃんがこんなに仲良くしてくれてるのに弦も気になってるなんて贅沢すぎるなって思ったの」

糸真ちゃんのその言葉は私にも言えることだ｡

私はせっかく金やんが気遣ってくれたのに弦くんの事しか考えてなくて金やんを傷付けてしまったから…

糸真「それに､Aも好きなんでしょ？弦のこと」

『…う､うん』

糸真「さくちゃんから聞いたんだ｡あたしは弦から引く｡だからAがあたしの分まで頑張って」

『え…糸真ちゃんはそれでいいの？』

糸真「悔しいけど､やっぱりあたしはAには勝てない｡なんてったってAは弦の幼馴染じゃん？」

『でも､幼馴染だからって何か出来たわけじゃないよ｡実際晴歌に取られたわけだし』

糸真「…A､まだ何もしてないでしょ？やれる所までやってみなよ｡それでもダメだったら仕方ないけど｡やってみなくちゃわかんないじゃん｡まぁ､あたしが言えたことじゃないけどさ笑」

糸真ちゃんが私の目をまっすぐ見て話す｡

…諦めた糸真ちゃんがこんなに必死になって言ってくれてるんだから､もう引き下がるなんて出来ない｡

さくちゃんにも前に応援されたし､やっぱり2人の期待に答えなきゃ｡