私もプリンシパル (ページ12)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:51,298 hit

10. ページ12

＊

そのまま晴歌とは連絡を取らないまま新学期を迎えた｡

聡太「Aー？今日もなんか落ち込んでるけど今度こそ喧嘩した？」

『…晴歌とね』

聡太「あら｡国重ちゃんと？」

『…うん』

教室に入ると､糸真ちゃんと怜英と梨里が話していた｡

『…あれ？糸真ちゃん､怜英達とは､また仲良くなってるの？笑』

糸真「うん…！怜英達の方から謝ってくれたの！』

怜英達とはなんとか上手くいったみたいだけど､問題は晴歌だ｡

そう思っているうちに晴歌が教室に入ってきた｡

明らかにいつもと雰囲気が違うけど､糸真ちゃんは怯むことなく晴歌に話しかける

糸真「おはよう晴歌！」

糸真ちゃんが勇気出して声を掛けても､晴歌は無言のまま脱いだコートを教室の後ろへ持って行く｡

糸真「ねぇ､晴歌！あたしに言いたいことあるんでしょ？だったらちゃんと言ってよ！言ってくれなきゃわかんないよ！」

晴歌は相変わらず黙って何も言わずにただ糸真ちゃんを睨みつける｡

それでも糸真ちゃんは続けて晴歌に訴える｡

糸真「あたしは､晴歌と仲良くしたい！」

晴歌「何が仲良くだ！良い子ぶんな！」

糸真「ぶってない！本気だよ！」

遂に糸真ちゃんと晴歌が口喧嘩っぽくなってきていよいよまずいかもしれない｡

そう思ってたのに､まさかの弦くんがひょこっと口を挟んだ｡

弦「…なぁ､国重｡おまえもそんな顔すんだな｡なんか面白ぇじゃん」

おい､弦くん…こんな空気の中何言ってんだ…と思っていたら､

晴歌が泣き始めてそのまま走って教室を出て行った｡

その後を糸真ちゃんが追いかける｡

晴歌と糸真ちゃんの気配がしなくなった後､怜英達が私に話しかけてきた。

怜英「…そういえば､Aも晴歌とトラブったって聞いたけど大丈夫なの？」

『…晴歌から聞いたの？』

梨里「うん…Aもあの2人､追いかけて行った方が良かったんじゃない？」

『ううん､これは晴歌と糸真ちゃんの2人の問題だから｡私は私でちゃんと仲直りするから｡』

怜英「…そう…Aがそう言うなら…無理には行かせないけど…」

糸真ちゃんは自ら歩み寄り､仲直りしようとしたんだ｡

それを私の都合の良いように利用しちゃいけない｡

私もちゃんと自分で機会を得て､晴歌に謝らなきゃだから｡

今は晴歌と糸真ちゃんを2人っきりにさせてあげなきゃ｡