白の九尾狐【文スト】

脱走 ページ5

「今回は之くらいにしておこうか、」


そういって彼は私の首から牙を抜いた。



やっと、解放された。



その思いとは裏腹に怒りが湧いてきた。


『糞狐...』







「...君は私が思っている以上に莫迦みたいだね。」







其の声は先程の声よりも冷たく、背筋が凍った。

でも私は負けじと彼に云った。



『家に帰して...！』



すると彼は、私に満面の笑顔を見せ言い放った。





「帰すも何も、今日から此処が君の家だ。」





は、？


此処が私の家、？


違う、私の家はコンクリートで出来てて、

蒲団なんかじゃなくて、ベッドだった、、、


『私の家は、こんな所じゃない...！』



「否、ここだよ。」

「私と君は今日から夫婦で此処で暮らすんだ。」



夫婦？

そんなの私は認めてない、

其れにこんな怖い人と一緒に住むなんて無理、




そんな中、彼は私に告げた。



「...それじゃあ、朝食にしようか。」



そういうと部屋を出ていった。





今の内に逃げれるんじゃ、？

そう思った瞬間、躰が勝手に動いた。


襖を開け、長い廊下を只管走った。



彼が戻って来る前に、

彼が私を見つける前に、



数分走ってやっと見つけた玄関。


助かったと思い、玄関に手を述べようとした瞬間



ガラガラと音を立てて自動で開いた。



目の前にいたのは、


桃を片手にした狐の彼だった____。

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