白の九尾狐【文スト】

腹の蟲 ページ22

目が覚めれば又何時と同じ木で出来た天井。
隣には当たり前の様に眠る狐。
脚はズキズキと疼いて痛い。

如何してこんな事になったンだろう。

私は唯、家に帰りたかっただけなのに...




「お早う、A。」




『...』


「...脚を折ったのを怒っているのかい？」



当然だ、更に云えば私を此処に誘拐した事も未だに怒っている。






「無視は良くないね、A。」





そう云った瞬間狐は私の脚を触りだした。
ギプスを巻いていないので、当然激痛が走る。




『ｲｷﾞｯ!?』




「何ともまぁ、色気の無い声だね。」














ゴンッという音が鳴った。
私の拳が狐の頭を殴った音だ。
色気が無いのは元々だが、此奴に云われて腹が立った。

之は仕方ない。















ぐぎゅうぅぅぅう。















『...私じゃないから。』

嘘だ、今のは完全に私の音。
でも恥ずかし過ぎて直ぐにバレる嘘を着いてしまった。
一生の恥だ。



「ふふ、そういう事にしといて上げようか。」



そう云うと狐は私を抱き上げ別室に移動した。


そして狐は私の目の前に蜜柑を差し出した。
此奴は果物しか出せんンのか？？？
栄養失調で死 ぬわ。





「勿論喰るよね？」




然し少しでも長生きする為、今は蜜柑で我慢するしかない。

私は蜜柑を口へと運んだ。

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