30、特技 ページ32
「殺シテヤル...」
「『...エレン？』」
物騒なことを呟いたのは大勢が刃を構える中、やっと目を覚ましたエレンだった。
『エレン 大丈夫…？』
「エレン！ちゃんと体は動くか？意識は正常か？
知ってることを全部話すんだ！きっと分かってもらえる！！」
「A、アルミン...？」
アルミンはたった今目覚めたばかりのエレンに捲し立てた。いつもなら宥めるところだが、今はそういう訳にもいかない。
駐屯兵は十分な人数に十分な刃と、完全武装で私たちを取り囲んでいる。エレンの不穏な言葉を聞きつけたその兵たちの中に不安がじわじわと伝染した。
当の本人は訳が分からないといったように目を白黒させている。
尋問と言うからいくら反逆行為といえど、なるべく穏便に済むように取り計らってくれると過信していた。今 思えば、穏便になどいくはずない。
「イェーガー訓練兵！意識が戻ったようだな！
今 貴様らがやってる行為は人類に対する反逆行為だ！！貴様らの命の処遇を問わせてもらう！！」
怪しい動きがあれば榴弾をぶち込むと言う。もはや尋問というより脅迫に近い。
「＿＿＿＿＿率直に問う。
貴様の正体は何だ？人か？巨人か？」
私たちの間を通り抜ける風の音だけが響いた。
「し、質問の意味が分かりません！」
震えた声で答えたエレンに上官は恐怖と不安が入り交じったように興奮気味に叫んだ。
「大勢の者が見たんだ！お前が巨人の体内から姿を現した瞬間をな！
たとえ貴様らが王より授けられし訓練兵の一人であっても、リスクの早期排除は妥当だ！！私は間違っていない！！」
大声で捲し立てる彼に楯突いたのはミカサだった。
「私の特技は、肉を...削ぎ落とすことです。必要に迫られればいつでも披露します。
私の特技を体験したい方がいれば...どうぞ一番先に近づいて来て下さい。」
『ミカサ あまり刺激しないで。』
エレン諸共私たちを殺すのは人類にとってかなり痛手のはず。
技術も知識も人並みな私はどうなろうと、人類の存続に影響はない。けれど、ミカサは精鋭の方々が既に実力を認めているだろうし、アルミンは人類が壁外へ進撃する為に絶対に必要な人材。
冷静になれば分かることなのに、興奮状態の上官の頭ではそれは考えられないらしい。
「おい...お前らは何を...？何でここにいるんだ！？」
こっちはこっちでエレンはパニックを引き起こしている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ま い ま い(プロフ) - あたりんさん» 返信遅くなって申し訳ない…めちゃくちゃ嬉しいです！！！ジャン推しの星になれるように頑張ります！！！ (2023年4月11日 16時) (
レス) id: 140028ed61 (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - ジャン好きなので嬉しいです！！更新楽しみにしてます！ (2023年4月2日 12時) (レス) @page20 id: c0f0373936 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まいまい | 作成日時：2023年3月19日 19時
