173話トラウマ ページ33
ｷﾞﾙ「来たか 三人とも。」
ギルダーツは椅子に腰掛け、存分に羽を伸ばしていた。
ｷﾞﾙ「ナツゥ お前…あれからリサーナとは上手くやってんのか？ん？」
思いがけない問いに一瞬 空気が凍った気がした。
ﾅﾂ「はぁ？」
ｷﾞﾙ「てぇ〜れやがってぇ。がははっ！！！」
ﾅﾂ「リサーナは死んだよ 二年前に。」
ぽつりと放たれた言葉が底知れぬ悲しさに引き摺り込んだ。
そっか。ギルが仕事で出てったのは三年前。知らないんだ。リサーナがもういないこと。
ｷﾞﾙ「…マ、マジかよ。そっか…それでミラのやつ…うおお…すまねぇ ナツ。」
ﾅﾂ「そんな話なら帰んぞ。」
ﾊｯﾋﾟ「ナツってば！」
ぶっきらぼうなナツにハッピーが慌てて声をかけた。
あの反応になるのも無理はない。
ｷﾞﾙ「仕事先でドラゴンに会った。」
ﾅﾂ「『！！』」
唖然とする俺たちを他所にギルは続ける。
話によると、そのドラゴンはナツの親である赤いドラゴンではなく黒いドラゴン。霊峰ゾニアで目撃したという。
それを聞いたナツはすぐさま向かおうとしたがギルはそれを止めた。
そして徐に羽織っているマントを広げて見せた。
マントの中の体は目も当てられない状態だった。生きているのが奇跡といっても過言ではない程に。
興奮気味のナツはギルに静かに説き伏せられると耐えられなくなったように家を飛び出した。
一見 厳しくも見えるが、それを始終見ていたハッピーにナツの支えになれと優しく声をかけたのもまた、ギルだった。
ナツとハッピーが出て行ってしまい、俺は立ち尽くした。
ｷﾞﾙ「…すまなかったな リサーナのこと。お前 ギルドに入って一番に懐いたのストラウス兄弟だったもんな。」
『…もういいよ。思い出すと寂しくなるから。そんで俺に話って？』
その件から逃げるようにギルに話を促すと彼は目にも留まらぬ速さでこちらに迫った。
『なっ、』
突然のことに対応する術もなく、俺の手首は頭上で一纏めに捕らえられた。
『ギ、ギル！！』
慌てて身を捩るが力が強すぎてビクともしない。動けない。
乞うようにギルを見るが鋭い目つきは変わらなかった。
嫌な汗が首筋を伝う。震えまで出てきた。
怖い。
『おね、がい…ギル…は、はなし、て…こわい…』
情けない小さな声を絞り出すとギルはゆるりとその手を離した。
ｷﾞﾙ「まだダメか。悪かった。」
そう言って俺の頭をわしわしと撫でた。
何故か無性に泣きそうになる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ま い ま い(プロフ) - マナさん» あなたの小説に私を参考にしたと明記していただき、あなたのその小説を教えてくだされば構いませんよ〜 (11月7日 6時) (
レス) id: 140028ed61 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 話参考にしたいのですが… (11月6日 19時) (レス) id: 73f360e95a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まいまい | 作成日時：2022年9月1日 7時
