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「…で、最終的に2人はまーしぃ…ベース担当の奴に正座させられて怒られたんだよな」
「ふっ、ふふっ、待ってほんとに浦田君のお友達ツボすぎる、」
「だろ?まじで全員ヤバいやつなんだよ」
「浦田君も相当じゃない?」
「なんだとコラ」



はははと浦田君の笑い声がこだます教室内。
隣の席になってからというもの、暇な授業中、自習中、部活が始まるまでの放課後、彼はずっと私に話をしてくれて、笑わせてくれていた。
正直ここまで仲良くなれるだなんて思っていなかったからビックリだ。



話の内容は、主に彼の所属する軽音楽部の部員の人達のお話。個性的な人ばかりで何回聞いても全く飽きない。今日もキーボード担当の部員がドラム担当の部員に駄々を捏ねてシバキ倒されたという話で死ぬほど笑わせてもらった。



そんなこんなで話をしていると、不意に教室の扉がガラリと開く音がした。
入ってきていたのは、隣のクラスの女の子。小動物のような見た目をしたその子は、キョロキョロと周りを見渡したあと、浦田君を見つけるなりこちらに駆け寄ってきた。



「浦田君、今ちょっと、いいかな?」
「え?あぁ、うん。」
「これ、」



そう言って女の子が差し出したのは、一通の手紙。押し付けるなりその場から早足で走り去っていった彼女の背中を呆然と見つめる私の隣で、浦田君が手紙を眺めてはぁとため息をついた。



「知り合いの子?」
「いや全然。喋ったこともないしなんなら名前も知らない。…呼び出しかな。」
「えっ………もしかして告白?」
「多分そう、」



そう言って彼は、かさりと手紙を開封した。
中に入っていた便箋には、予想通り屋上への呼び出し文。しかも今すぐに来てくれという内容まで書かれている。さっきまであんなに笑っていたはずの浦田君の顔が、どんどん浮かない顔に染まっていくのが分かった。



「行きたくないの?」
「断らないといけねぇの、申し訳なくて」
「…そっか、」
「どうすっかな……」



困り顔をする彼に、何か出来るだろうか。
考えた末、”ちょっと行ってくるわ”と席を立った浦田君を呼び止めた。



「…待ってるね。話聞くし、ビンタされたら盛大に笑ってあげるから。」



”だからそんな顔しちゃダメ”と言うと、ぽかんとした顔をした浦田君。
数秒後にはふはっと吹き出して、”頼むわ”と笑いながら教室を出ていった。



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作者名:Key | 作成日時:2021年7月12日 1時

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