フリージア (ページ3)

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「なんですか、」

「...Aちゃんは覚えてないかもしれんけど」

「今日みたいに一緒に帰ってた日、流れで卒業の話になってさ。そのときAちゃん、"先輩の第二ボタンは絶対に私にくださいねー！"って言ってくれてん」

さっきの雰囲気とは一変して、突然の昔話に顔が熱くなる。

「、忘れるわけないじゃないですか」

「ほんま？よかったぁ」

瞬先輩は穏やかな表情をしながら制服から第二ボタンを取って、こちらに差し出した。

「俺な、これだけは本当に好きな子に渡すって決めてたんよ」
「だからさ。...Aちゃん、受け取ってくれる？」

言葉をうまく飲み込めず、瞬先輩の声が脳内で反響する。

「...うそ、」

「嘘やないよ。俺、Aちゃんが好き。もし、Aちゃんも同じ気持ちなら、俺と付き合ってほしい。」

やっと意味を理解したとき、瞬先輩を追いかけてきた2年間の思い出が蘇って涙が止まらなかった。

想い続けてよかった...と安心して少しの間泣いていると、瞬先輩があたふたしていることに気づいて、今度は笑いが止まらなくなった。

「え、ごめん、そんなに嫌やった？え、なんで笑うん！？」

「すみません。嬉しかったんです、すごく笑」

「ガチで？焦ったわ〜、やめてや〜！」
「てか、返事聞いてないんやけど？！」

「...私も大好きです。瞬先輩のこと」

「その第二ボタン、受け取らせてください」