約束 ページ13
一般人の女の子×芸人のshnさん
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今夜は冷え込むから、お鍋でも作ろうか。
なんてことを考えていた夕方。
予定より早く帰ってきた彼を玄関まで出迎えると、私のおかえりよりも先に君が口を開く。
『おれ、東京行くことになった』
聞いた瞬間に停止する思考。
いつもと違う口調から、それが本気だということはすぐに分かった。
そして彼は空っぽになった私の心情を察することもなく、淡々と切り出していく。
『急にこんなこと言ってごめん。明日出るから、今日が最後やわ』
「え、明日！？馬鹿じゃないの！？！」
『分かってる。でも決めてん』
「決めたって、そんな、、」
目を見開いて動揺する私をよそに、いつになく冷静な瞬。
東京に行けば、彼が活躍できる場が広がる。
私だってそんなこと分かってる。
でも、彼の言うとおり急すぎる。
「瞬なんてもう知らない、勝手に行けば」
『なんでそんなん言うん』
「だって私のことなんにも考えてないじゃん。自分勝手。自己中。我儘！！！」
苦しくなって、思ってもない台詞を投げかけてしまった。
本当に我儘なのは私の方なのに。
だが瞬は逆上せず、泣き喚く私の背中を擦りながら懇願した。
『必ず売れて、Aのこと迎えに来るから。』
『だから待っててほしい。頼む』
その必死さに「おれにはAが必要なんだよ」という気持ちが現れてる気がして。
こりゃ応援してあげなきゃな、と単純な私。
きっと彼の思う壷なんだろうなって馬鹿らしく思いつつも、YES以外の選択肢なんて無かった。
「約束だよ。破ったら針千本飲ますから」
『そんな泣き顔で言われてもなぁ。笑』
「ほんとに、のませるんだからね、、！！」
『あー、ほんまごめんって！！泣かんとって！！』
やっぱり私にも、瞬が必要だよ
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作者名：黄煙 | 作成日時：2024年3月16日 4時
