フリージア (ページ12)

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その後結局体勢は変えず、何度か言葉を交わしているうちに自然と指が絡み合った。

心做しか部屋も暗くなって、二人の間を流れる空気が湿ったものに変わる。

けれど、しゅんくんは私の頭を撫でたり背中をさすったりするだけでそこから進展させようとしない。

そのせいなのか20分ほど経ったところで限界がきてしまい、とうとう自分からキスをした。

「ふふ、ごめん。我慢させてもうてた？」

「だいぶね。...もしかして策略？」

「なんでわかったん」

「やけにニヤニヤしてたから。というか、しゅんくんのことなら何でもお見通しだよ」

「マジかぁ。まあ俺もやけど」

「...ええ？」
少し顔を赤くした彼が言う。

「聞かなくてもわかるでしょ、」

「ん、せやな。"お見通し"やもんな」

肩を優しく押され、視界がゆっくりと天井へと移った。

「好きやで。この先もずっと、Aのこと守るから」

ヒーローみたいな君と、
雨音も雷も聞こえなくなるくらい、激しく影を重ねて。