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「……ん?待って…」
安堵と、大好きな戦隊ヒーローと同じ道程を辿ることになるのに喜びを感じるのも、束の間。
私はふと、頭に浮かんだことで…嫌な想いが募り出した。
「…………守沢」
「…ん?ど、どうした?A」
私の声に、少し濁りが入る。気づいた守沢は、私の様子に目を丸くした。
私の様子が突然変異したことに驚いた羽風さんの握力が緩む。自然と私はその手を解き、守沢の方へ体を向けていた。
「____!!!」
…気づいた時には、守沢の頬を叩いていた。
右手を振り上げ、怒りの雷同様のスピードで守沢の頬目がけて叩き込んでいた。
守沢は体制を崩してよろけ、後ろへ仰反る。
「いっ………!え!?な、なんだ!?なぜっ!?」
___ありえない。
この男、羽風さんより、最低じゃん。
「__いつもこないような連絡が来て…こっちは心配で心配ですぐ、電王のラストシーンの鑑賞中なのをわざわざ止めてまでここにやって来たってのに………。
呼び出した理由の合点がいったよ、この、馬鹿沢ッ!
私をこの人に……『女の子として』紹介するために、呼んだってこと…………!?」
頬を抑えつつ、私の言葉を聞き、目を丸くしながら、目の前の守沢は呆然と突っ立っている。
___なんのことだか、分かっていないんだ。
私の気持ち、なんっにも、知らないんだ。この人。
酷い。
五年間も恋して、ずっと好きで。
付き合いたい、とまで、本気で思ってるのに。
守沢が私の彼氏だったらいいのにって、何回も思ってるのに。
「最っ低。もう__大っ嫌い」
___もう、いっそのこと嫌われたい。
嫌いって言えば、優しい守沢だって私のことを深く追求しなくなる。私が守沢のことを嫌いなら仕方ないって、思ってくれる。
地団駄をわざとらしく鳴らしながら、行きで使った自転車に乗る。
引き留める守沢を無視し、涙を流しながら、自宅まで走っていった。
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作者名:5674C | 作成日時:2022年7月18日 18時