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「お昼ママに持ってきてもらう？」
「！いや、それは申し訳ない！下へ降りよう、折角久しぶりに食べれるんだ。負担も減らしたいし、礼儀正しく頂きたいなっ！」
「……うちのママだし、そんな気使わなくていいのに…」
「そう言うわけにはいかん。ああっ、楽しみだなぁ…！Aママの手料理っ！」
昔となんら変わらないよ、などと何度謙遜しても、守沢は「それが良いんじゃないか！」と、気持ちの良い返事をしてくれる。
そんな人柄の良さにふふ、と、頬は緩み切っていた。
中学生の頃と同じように二人で母の下拵えの準備を手伝い、三人で炒飯を食べた後、軽く談笑し、勉強を再開した。
お腹が満たされている分、少し眠気を感じて目を擦る時もあるが、
「おーい！」
「……んはっ…！？」
「ははは！ノートが落書きしたみたいになってるぞ」
「えっ！？あっ…！」
生真面目な守沢に話しかけられることで、なんとか正気を取り戻すことができる。
シャーペンを握ったままうとうとしていたせいで、ノートの端部分に不規則な黒い線が引かれていた。
「待っていつから…うわっ…」
「ん〜まあ、数分前から大分こくこくしてたな」
「！す、数分前って…！気づいてたんなら早めに言って欲しかったー！」
「あー…うむ………なんか、面白かったから！起こさんかった！」
「おっ………」
「Aが寝る姿はそう言えば見たことないな、と、ちょっと興味が湧いて観察していた」
「へ」
あまりにも率直な言葉に驚き、持っていたシャーペンが落ちる。
「……………」
この男は…どういう意図で、今それを言ったのだろう。
私の寝顔を見たいというのか。単なる好奇心で言っているのだとしたら、私はこいつの正気を疑う。
「あ、すまん！次からは見詰めず、もっと早めに起こすからなっ！」
「何……言って……」
「ん？」
「……………」
「…俺、変なこと言ったか？」
沈黙が続き、二人でいる時間の内で、未だかつて感じたことのない空気感が流れる。
それを感じ取っているのは私だけのようで、守沢は、一向に首を傾げ、私の強張った表情を見詰めていた。
変、というか……私が、意識し過ぎなだけだ。
自分でもここ最近痛いほど感じていることに、妙な憤りが沸き起こってきた。
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作者名：5674C | 作成日時：2022年7月18日 18時
