7 ページ22
「おはよう！」
「………おはよう」
お互い三年生になったばかりの、テスト一週間前の休日。日中の合間に、私服を着た守沢が私の家を訪れた。
「早くない？」
「まあまあっ！どうせ勉強が一通り終わったら特撮を観る予定だろっ？」
「ま、まあ…」
「それなら過去のように夜遅くまでお邪魔するのは悪いからな！」
今日は、二年生の時に勉強会をしようと約束していた日だ。
小型のリュックから取り出したボウ＊ンジャーのBlue-layの背面を眺めて語り合う中、私の母が顔を出し守沢に声をかけた。
「いらっしゃい」と言うのに、守沢は育ち良く「お邪魔します！」と言う。
「こんな年にもなって二人でウチの家で遊ぶなんて…変わってるわねぇ。千秋くん、こんな子でほんとにいいの？」
「？『いい』とは…？」
「！余計なこと言わなくていい！」
母に面倒な絡みをされる前に、早く上がって、と守沢を催促させ、背中を押して自室まで運んだ。
階段を上がる途中で母が守沢を我が家の昼ご飯に誘ったことに、守沢は嬉しそうに頷いていた。
・
「え、なんで違うんだ…」
「うん…？……ああ、A。冠詞が抜けてる」
「へ………あ」
「おい受験生〜」
「は？うるさいよ就職」
「すまん、本当に」
早速、昔から使っている勉強会のための座卓を自室に組み立て、英語の問題と直面している。
全く…と、睨む私の視線に、守沢は割とマジ顔で謝ってきた。
学校が違くとも、地域が同じせいか授業進行度にさほど変わりない。二人で協力すればイージーな問題を、相談しながら乗り越えようと向き合っている。
私も守沢も、勉学には真面目な姿勢を見せる性である。
特撮以外にも話題があり、気が合うと感じるのは…思えばこれのおかげかもしれない。
中学ぐらいの時はなんとも思わなかったが、勉強という共通の仕事があるのは＿＿＿けっこう、嬉しいのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：5674C | 作成日時：2022年7月18日 18時
