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「…………あのさ」



もやついた気持ちを払い除けるようにして口を開く。
声が、小さすぎたか。
話を切り出しても、守沢はこちらを向かない。
腕を突くわけにもいかず、なんとか声を振り絞った。



「___守沢」

「ん?」

「…………あの…」

「どうした…?」



周囲に気を配りつつ、自分が言おうとしている場面も脳内でイメージする。
自分がどれだけ恥ずかしいことを言おうとしているのか理解した瞬間、喉仏は緊張し__発語する話題が変化した。



「わ、私、朝なら別に…起きれるし、毎日目覚まし一本で起きれちゃうくらい目覚め良くて、だから、あの、起こしに行ってあげても…………」



もやついた心は隠しきれず、おかげでいつも彼に対して思っていたことがでしゃばってしまった。
一度出した想いを仕舞い込むことは無謀で、ただ顔を赤くすることしかできない。



「ん?すまんが聞こえん。もう少し大きな声で言ってくれないか?」

「………!!」



机に向けてボソボソと呟いたそれは、当然のことだが男には届かなかった。

守沢は机の下から持ってきた膝を私の方へ向け、顔を、私の肩至近距離まで近づけてくる。
___凛々しく顰められた表情が目の前で鮮明に映り、彼に最も近い肩側から順に、熱が迸った。



「な、なんでもないっ!もーいや守沢近いし!こっちくんな!」

「なっ…!?おまえの声が小さいせいで………」

「おいこら!いい加減にしろおまえら!朝礼中だろうがッ!」



遂に放たれた雷の怒号に、私たちは同時に肩を震わせた。
飛び出ていた守沢の膝は即座に机の中へ仕舞い込まれ、「はい…」と、小さな返事が重なったのだ。

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作者名:5674C | 作成日時:2022年7月18日 18時

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