にぶ野郎、どん感につき。 (ページ13)

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「ちょっ…ガチじゃん！？」

私の、窓ガラスに顔までもを押しつけるぐらいの勢いに、不審に思った友達が同じように窓の外を見出した。

「む、そっちから見えるのか？………！おお！ははっ、A発見！」

校舎を一望したのち、窓から覗く私に気づいた守沢が、満面の笑みで手を振ってきた。

「な…や、やめてよ…って、言えるタチじゃないけど…。あ、ちょっと待ってて、ほんと、すぐ行くから」

「ああ、出来るだけ早く頼む。俺も部活があってだな」

「A、誰あの人」

横でずっと聞いていた友達が話の最後だと悟ったらしく、私に問いかけてくる。

「かっこいいじゃん、あの人。彼氏？」

守沢を眺めながら笑顔で言う友達の言葉に、持っていたスマホを落としそうになった。

「かっこいいってか…ふふ、なんかかわいい。手振ってくれたし、あんな彼氏いてアンタ幸せだね」

「はぁぁ！？違うよ彼氏じゃない！あり得ない！何言ってんの！？」

「そんな分かりやすく動揺する？」

友達の指摘に、自分の言動を思い返し、さらに心拍数が上がりだした。

「ど…動揺って………！」

「？何を言ってるんだ？」

「！」

大丈夫か？
そう問いかける、変わらない彼の声に、心臓が妙な反応の仕方をした。

「…………な……なんでもない！こっちの話！切るよ！」

これ以上話を広げないようにそう言い、からかって笑い続ける友達を睨んでから、すぐに教室を飛び出した。