【あんスタ！！】仮面ヒーローの理想的彼女【守/沢/千/秋】 (ページ5)

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今日は会議があるらしい。
そのため千秋は十九時を過ぎても帰ってこなかった。

今頃千秋は『流星隊』のメンバーと真剣に机を囲んでいるのだろうか。

テレビの前にあるいかにも高級そうな白革のコーナーソファに座って待っていると、寂しい気持ちが沸々と湧き上がってくる。
赤色のクッションを胸の中に入れ、体育座りで体を前後に揺らした。

寂しくて満たされない気持ちの現れか、自分の足指がバラバラに動くのを見つめる。

「はぁ…」

早く会いたい。今朝会ったばかりなのに、遠い昔からの再会を待ち侘びているようで、胸が苦しい。

つい漏れたため息と共にリモコンを手に取り、吟味するようにチャンネルを回し出した。

『いやぁ千秋くん久しぶりだねぇ』

心臓が跳ねる名前を耳にし、不意に指の動きが止まった。

右上のテロップの『ヒーローアイドル守沢千秋に迫る！』の文字が見えた瞬間胸がざわつき、体が前のめりになる。

『はい、ご無沙汰してます！』

張りのある声を知り合いの先輩芸能人に向ける彼の姿が映り、Aは、はぁあ、と感嘆の声をあげた。

千秋、この番組出てるの教えてくれなかったなぁ、と、不貞腐れて口を尖らせるが、それも当然かもそれない。
彼の最近の人気は鰻登りだ。自分でも出演した番組を忘れてしまうのは、自然だ。Aはそう妥協する。

テレビの中に映る千秋は仕事の顔で、家にいる時とは全く違う彼を見ているようだった。