大切な人達の幸せを……3.5【wrwrd!】 (ページ48)

今日:8 hit、昨日:9 hit、合計:3,791 hit

楽しみ…悲しみ？ページ48

『～♪』

ルンルンとした気持ちで
外を歩く

昼休み
姉様達と今日は久々に
お昼だ

食べる場所はもちろん
屋上

軽い足取りで屋上の道を歩いていた

『早く会いたい…』

沙優｢…～～～～｣

『え…？』

沙優の小さな声が聞こえた途端
さっきまで屋上まで歩いていた筈のに
他の場所に来ていた

此処は校舎裏？

ザッと人が歩いてくる音が聞こえる

『っ！』

そちらに警戒する
そこに現れたのは沙優だった

『ねぇ？何回言えば分かるの？ホントに』

沙優｢分かってるわ…でも、貴方からあぁ言われた以上、こうするしかないと考えたわ｣

『こっちに来ないでくれるかな？』

沙優｢これが最後だから。許して｣

ゆっくりとこちらに近づいてくる
逃げたいものの後ろは壁
行き止まり、姿を変えようと考えたが
少し遠くから人の声が聞こえた

聞き覚えがある声のような気もした

『…ｯ!』

沙優｢……｣

沙優が近くまでやってきた
すると

ザシュッ

と言う音が聞こえた

『……は？』

沙優｢……｣

沙優は自分の手首をナイフで刺していた
なにをやってるんだ！？コイツは！？

人が近づいてくる気配もする
これがバレると相当不味い

仕方なく俺は沙優の元に歩み寄る
血の香りが鼻にツンとくる

『ねぇ！？何してるの？死んじゃうよ！？』

沙優｢……｣

切った手首からは血が流れ落ちる

沙優｢私がこんなことする理由なんて、1つしかないじゃない｣

俯いたまま沙優はそう言った
何処かこの場が両親に虐待されていた
時と様子が重なって頭が痛い

『は？』

沙優｢！｣

『…ぇ？』

腹辺りに激痛がはしる
その痛みと同時に膝から崩れ落ちる

沙優｢私が…こんなこと…する理由なんて一つしかないわ｣

『ｺﾞﾎｯ…何を…』

沙優｢貴方が私の物にならないというならば無理矢理でも一緒に居る。でも、周りの存在が邪魔よ。なら人が少ない“黄泉の国”に一緒に行きましょう？｣

『ｶﾞﾊｯ…ｺﾞﾎｯ』

腹辺りに激痛がはしる
姿を変えても出血量は大量のはす…
姿を変えても意味が無い
沙優もまた自分の体を刺そうとしている
このままでは俺は死なない

また刺されるかもしれない
そしたら本当に死ぬ

体中が痛い…苦しい…

“死にたくない”

大切な人にお礼を言いたい

姉様の傍に居たい

大切な人の幸せを願いたい

沙優｢あははっ♡永遠に一緒にいようね｣

沙優が狂ったように笑う声が
俺の耳に届く

俺の意識はどんどん薄れていった