叶う事なんてない ページ5
玄関には一足の靴が置いてあった
母の物ではない
父の物だ
そのままリビングに行くと
父がこちらに歩いてきた
父｢ッ!何処に行ってたんだ!お前が帰ってこないせいでストレス発散できねぇじゃねえか!｣
『ッ!』
そのまま腹を殴られる
壁にぶつかり
背中がジンジンと痛む
どこ行ってたって…学校だよ
なぜか父の目の前になると
抵抗も反抗も出来なくなってしまう
弱気な自分が出て来てしまうのだ
父｢ああ。今日から学校だったなぁ？誰にもこの事言ってねぇだろうな？｣
馬乗りにされる
『…言ってない』
父｢どんな口調で言ってんのかなぁ！？｣
ドゴッ
また殴られた
痛いな…目立たない、バレない場所に
アザ出来てくれたらいいけど…
殴られ、蹴られ、小型ナイフで少し
腕を切られたり
痛すぎた
いつもよりも酷かった
父が働く仕事で何かあり
ストレスが相当溜まっているのだろう
俺だってこんな事をされるんなら
自分からﾀﾋのうとも家出だって考えた
実際したが
友達や周りの人に止められるし
それが両親まで伝わるし
家出か
だってしようとしたが
運悪く父と鉢合わせした
その日は本当に痛かった
これが嫌だとしても
逃げられない
免れられないのだ
バコッドゴッバキッ
ヤバい…意識が…
そのまま意識を手放した
ーー
『うっ…』
目を覚ますともう父の姿は見当たらなかった
机の上には夜ご飯だろうか
料理が置かれていた
今…何時だ？
体中が痛い
血を流している場所もあるようで
自分の倒れていた周りには血が
付いていた
4時半…
両親はもう仕事行ったのか？
人の気配がしない
助けを呼びたい
この事を誰かに言いたい
そんな願いが叶うこともない
取り敢えず寝よう
そのまま俺は眠りについた
ーー
『うっ…』
目を覚まし、軽くシャワーを浴びる
体にはアザが増えていた
切られた場所からは血が流れていた
このまま服を着ると
服に血が滲んでしまうだろう…
包帯巻こ
顔にはアザ出来てないから…
いつも通りの服着れば…
隠せるか…
支度を終え
リビングに背を向ける
あの人…兄様かもしれないけど
グレースに相談したい…
でも心配するよな…
人違いだったらもっとダメだ
我慢するしか…ないのか
『行って…きます』
カーディガンの上から
腕を撫でながら俺は家を出た
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作者名：kuromike | 作成日時：2021年2月25日 19時
