ある９人兄弟の物語４ (ページ8)

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光side

涼「はい、とりあえずこれ」

俺の前に出されたのはほかほかと湯気が立っているおかゆ

真っ白で味気ないものなんかじゃなくて、卵やにんじん、大根、ほうれん草が入っていて彩もよく美味しそう

宏「ふーん...進路かぁ」

光「うん...」

宏太の手にはあの『進路希望調査』の紙

進学って書いたは良いけどまだ先生に出せなかった

慧「別に無理して大学行かなきゃいけないわけじゃないと思うけどねぇ」

雄「うん、俺行かねぇし」

光「うん...」

それはわかってるけど...でも家の事考えたら...

宏「うーん...まぁ進路って難しいよなぁ...」

光「...うん」

宏「慧はもう出したの？」

慧「うん、俺は進学って書いた」

やっぱり...

慧「でもさぁ、別に家のことなんて考えなくてもいいんじゃない？」

光「え？」

慧「俺も宏太も大学に行きたいし必要だから行くだけだし、雄也は行きたくないから行かないんでしょ？」

雄「えへ」

慧「みんな将来やりたい事をするんだよ
光だってやりたいことやればいいじゃん」

やりたいこと...か...

そういえば考えたことなかったかもしれない

いつだって家族がいちばん大切で、家族のためにいちばんいい事をしないとって思ってきた

宏「もし光が大学に行きたくなくて、将来やりたいことに大学が必要無いなら行くべきじゃないと思う」

もちろん大学に行って考えてみるっていうのもありだと思うけどね、そう宏太は付け足した

光「...うん」

俺のやりたいこと...

なんだか胸がスッキリした気がする

涼「...あ、食べた？じゃあこれデザート」

おかゆが入っていた器を下げられたらいろんなフルーツが入ったヨーグルトとホットミルクがおかれた

それもペロリとたいらげると、やっとみんなは満足したのか空気が柔らかくなった

うん、やっぱり人間は笑顔じゃないと

般若みたいな顔されてもおっかないだけだから

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