2話 ページ3
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｢さっさと乗れ｣
男がそう言って私を黒い車に乱暴に放り入れた。少し煙草臭い車内の端によると、運転席にも1人、彼と同じような帽子をかぶった男性が見えた。
｢ウォッカ、出せ｣
｢へ、へい｣
何事も無かったような顔で指示をする銀髪の男に、運転席の人は少し戸惑いながらも車のエンジンを掛けた。
窓の外に目をやると、流れる夜の街はまるでイルミネーションのようでとても綺麗だった。
何処に連れていかれるんだろう、そんな事は一切無くて、ただただこの煙草の香りが自分の父のようで何故か安心していた。
｢……兄貴、後ろの女は誰ですかい？｣
ウォッカと呼ばれたその人は、ついに私の事を彼に聞いた。思わずドキッと、心臓が脈打つ。
どう答えるのかな、と視線を銀髪の人に向けると、彼は窓を見ながら優雅に煙草を蒸していた。
｢……拾った｣
｢ひ、拾った……ですかい？｣
｢あぁ、どうやら身寄りが無いらしいぜ……なぁ？｣
｢……はい｣
突然投げかけられた問に、驚きつつも返事をする。また、黙りを決め込めば今度こそあの拳銃で頭をパーンだ。
先ほどウォッカと呼ばれた人は｢そうですかい……｣と言って運転に集中した。
どんどんどんどん景色が流れていく。
もしかしたら流されているのは景色じゃなくて、私自身なのかもしれない。そう錯覚させるほど世界は容赦なく流れてしまう。
ふと、信号で車が停車した時見えた電柱に貼り付けられている『米花町』という小さな看板を目にした。
全然知らない地区だ……、と思ったけど何故だか自然と驚きはしなかった。
彼に会うまで自分が何をしていたか思い出せもしなかったし、それに帰る家も頼る親戚もいないことは紛れもない事実だった。
理由はどうしても思い出せないんだけどなぁ。
｢兄貴、着きやしたぜ。｣
｢あぁ｣
一体どこに着いたのかは知らないが、一応駐車場に車を止めたようだ。
また何処かに連れていかれるのかと思えば、銀髪の人は私を無視してさっさと車を降りてしまった。あれ、これ私も降りるのかな。
ウォッカって人は、相変わらず彼の予想外の行動に戸惑っている。それは私も同じだ。
｢……あの、私は、どうすれば…………｣
急いで車のドアを開けて、銀髪の人に問いかける。彼は立ち止まり、ポケットに手を突っ込んだまま相変わらず鋭い目つきで私をじっと見据える。
｢……今夜はそこで寝ろ、明日また来る。｣
その言葉に私は｢はい……｣と気の抜けた声で返事をした。
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高原(プロフ) - 海鼎さん» うわぁー！再びコメントありがとうございます！頑張ります！ (2018年1月27日 21時) (
レス) id: 07676443a0 (このIDを非表示/違反報告)
海鼎 - イラストがうますぎて泣きそうです...！更新頑張ってください！ (2018年1月27日 20時) (レス) id: 489d0b19f8 (このIDを非表示/違反報告)
高原(プロフ) - 馨さん» そうなのです……イラストは私が描かせて頂きました！そう言って貰えて光栄です！頑張ります！ (2018年1月12日 8時) (レス) id: 07676443a0 (このIDを非表示/違反報告)
馨 - イラストは作者様が描かれたのでしょうか...？！！？ とってもお上手で設定のページで数分ほど硬直しました.....あの絵だけで30分は語れる自信が...(( 、お話も大好きです！！！ トリップモノの中でも着目できるくらい...！！！(？) (2018年1月11日 20時) (レス) id: e10e5449fb (このIDを非表示/違反報告)
海鼎 - ﾌｻｧ....(髪の毛が飛んでいく音) (2018年1月4日 22時) (レス) id: ecba555ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高原 | 作成日時：2017年12月25日 1時
