1話 ページ2
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夜、ひどい鉄分の香りに目を覚ました。
それと同時に首に鋭い痛み。どうやら寝違えてしまったのだろうその首を抑えて起き上がると、
すぐ耳の横でガチャりと金属と金属が擦れ合う音が聞こえた。
「……てめぇ何処から湧いた?」
男の低い声に顔を上げると、月の逆光であまり見えないが、今目の前に突きつけられているのは明らかに拳銃だった。
ようやく動き出した心臓が徐々にドクンドクンと波打つ。足りない脳を最大限にフル活用させて今の状況を整理していく。
「答えられねぇのか……なら、仕方ねぇよなぁ?」
「…………!」
ひた、とおでこ当てられた拳銃の冷たさにゆっくり状況を整理している時ではないと頭の中で警報が鳴り、長い髪の男は不気味に笑う。
此処は何処ですか?
あなたは誰ですか?
この場にいる誰よりもわかっていないのは私自身。聞きたいことは山ほどあるのに、上手く声が出せなかった。
けど、唯一出た言葉は、
「…………あ、の…………ごめんなさい………………」
一つの謝罪。
何に対してなのか、何の罪のせいなのか。わからない、わからないけど黙ったままならきっと殺されてしまう。
その瞬間、パァンと耳を劈く音が響いた。
キーンと余韻を残した音の方向を恐る恐る見ると、自分のすぐ横の地面に弾丸が食い込んでいた。
発砲した、この人。
「命乞いなんざ聞いてねぇ、俺はなんでてめぇみてぇなガキがこんなとこに居るのかって聞いてるんだ……」
「…………そ、れは……」
私にはわからない。気付いたら此処にいたし、この場所にいる前は………あれ?私、何処にいたんだっけ……。
思い出そうとしてもズキリと頭が痛む。
「────っ!」
また黙り出した私に痺れを切らしたのか、小さく舌打ちをした男はいきなりぐいっと私の学生服を掴んで無理やり立ち上がらせた。
そしてようやく見れた彼の顔。黒いと思っていた彼の髪は、それは月の逆光のせいで本当は綺麗な銀の髪だった。
長い前髪から覗く鋭い瞳に、思わず冷や汗が流れる。怖い、怖い、殺される……
「……ごめん、なさい……私、気付いたら、その……ここにいて……」
「………」
「訳が、分からなくて……、助けて……下さい……」
自分を殺そうとしている人に、何故助けを求めたのか自分でも理解出来なかった。ただ勝手に口が動いていて、この人に頼りたかった。
怖さで涙が溢れそうになった時、目の前の男は私を見て口角を上げた。
「……面白ぇ。」
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高原(プロフ) - 海鼎さん» うわぁー!再びコメントありがとうございます!頑張ります! (2018年1月27日 21時) (レス) id: 07676443a0 (このIDを非表示/違反報告)
海鼎 - イラストがうますぎて泣きそうです...!更新頑張ってください! (2018年1月27日 20時) (レス) id: 489d0b19f8 (このIDを非表示/違反報告)
高原(プロフ) - 馨さん» そうなのです……イラストは私が描かせて頂きました!そう言って貰えて光栄です!頑張ります! (2018年1月12日 8時) (レス) id: 07676443a0 (このIDを非表示/違反報告)
馨 - イラストは作者様が描かれたのでしょうか...?!!? とってもお上手で設定のページで数分ほど硬直しました.....あの絵だけで30分は語れる自信が...(( 、お話も大好きです!!! トリップモノの中でも着目できるくらい...!!!(?) (2018年1月11日 20時) (レス) id: e10e5449fb (このIDを非表示/違反報告)
海鼎 - フサァ....(髪の毛が飛んでいく音) (2018年1月4日 22時) (レス) id: ecba555ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高原 | 作成日時:2017年12月25日 1時