白い待ち人２【HUNTER×HUNTER】 (ページ7)

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５６話ページ7

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｢お前、調子乗りすぎね。｣

｢っ！｣

ノブナガの手を石の机に打ち付けたゴンを、小柄な男が背後に周り彼の腕を押さえつける。

｢ゴン！｣と、焦ったキルアが動こうとすると彼の首にヒソカは1枚のトランプを当てがった。

｢……動くと切る。｣

刹那、

〝切れば殺す〟

その場の空気が一瞬にして凍った。

その原因はヒソカに向けられた一つの殺気。
ギロりと金色の眼光を開き、Aはキルアに凶器を当てているヒソカを鋭く睨んでいた。

明らかに勝ち目のない状況だが、そんな事お構い無しに彼女は弟を傷つけた者を瞬時に殺そうとする勢いだった。

｢フェイタン、やめろ。｣

ノブナガは小柄の男をフェイタンと呼んだ。
フェイタンという男はゴンを離したがらなかったが、蜘蛛独特のコインの賭けで、大人しくゴンを解放した。

ヒソカもキルアからトランプを離して、それを見た彼女はほっ、と溜息をついた。

｢キル、ゴンくん、大丈夫……？｣

｢うん、俺は平気だよ。｣

｢…………。｣

微笑んだ彼女を見て、キルアはあの殺気は本当に彼女が出したのかと疑いかけた。

あんなに優しい姉貴は、家族を守るためなら死をも恐れないのか。

少しの過剰な愛は、どことなくイルミを連想させた。キルアの背に嫌な汗が流れる。

それから、旅団は彼女達を帰すか帰さないかで議論していた。
鎖野郎という男の情報を知らないなら、放っておけばいい。金髪の男の一言で彼女達を帰す方向に決まったかと思えたが、

｢……いや駄目だ、そいつ等は帰さねぇ。｣

｢！｣

｢なぁ坊主、蜘蛛に入れよ。俺と組もうぜ。｣

突然幻影旅団の入団を勧めたきたノブナガに、その場にいた全員が驚く。

〝団長〟が戻るまで此処に置いておく、と言うの彼に｢本気か？｣とジャージ男が聞き返す。
どうやらノブナガはえらくゴンを気に入ったらしい。

｢別にいいけど、見張りは1人でしなよ。｣

そう言われて、ゴン、キルア、Aの３人は建物の個室に連れていかれた。

｢……♡｣

あの時、ゾクゾクしたのを今でも覚えている。

1人、ヒソカは先ほど自分に当てられた殺気を思い出して思わず舌なめずりをした。