54話 ページ5
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幻影旅団のメンバーを見つけた以上、このまま黙って帰るわけにもいかず、キルアは尾行する条件を出した。
尾行するメンバーは、ゴン、キルア、A。相手はあの幻影旅団と言うことで、キルアとAが一緒に行動し、2人がかりでターゲットの変化を見分けるという作戦。
そして、キルアは彼女に向き合う。
「姉貴、もし俺達が見つかったら俺よりゴンを優先してくれ。」
「、……!」
「それでも駄目だったら構わず逃げろ。」
「……嫌よ。」
「っ、おい!状況わかってんのか!ここからは命懸けなんだぞ!!」
ゴンもAも死んでほしくない、その一心でキルアは心を鬼にして怒鳴った。
そう言われた彼女は少し目を細めると、キルアの頬を両手で包むと、そのままぎゅっと押した。
「……キルア、私は誰も見殺しになんてしないの。だって、2人とも私の宝物なんだから。」
その言葉にキルアは目を見開く。「わかった?」と薄く微笑むと、頬にあてられた彼女の手を握り返し「あぁ、」と返したキルア。
触れられた頬は、ほんのり温かくて、少し熱を帯びていた。
「…………、」
あぁ、やっぱ違う。
姉貴は誰よりも、優しいんだ。
「────っ、おし!準備も出来たし、俺が言った通りにな。
じゃ、作戦開始!」
キルアの合図で一斉に走り出した4人。ゴン、キルアとAで二手に分かれて屋根の上からターゲットを追跡していた。
時々、ゴンと電話でコンタクトを取りながら彼女は横でターゲットに不審な動きはないかと、神経を尖らせていた。
小道に入り、裏路地を抜けて、男女はどんどん人気のない方向へ進んでいった。
流石にもう尾行している事はバレているとしたら、これは罠か、それとも気づかずにアジトへ戻るのか。
追跡を続けるか、否か。Aとキルアは目配せをする。キルアがコクリと頷くと、そのまま続行される事になった。
何故か胸騒ぎがする……、ざわめく心を落ち着かせて彼女は尾行に集中する。
しばらくすると、ターゲットは廃墟に囲まれた広場の中心で足を止めた。彼女達も、建物の中に身を潜める。
キルアがゴンと通話しているのを横目に、彼女がふぅ、とため息をついた。
「────っ!」
瞬間、ターゲットの携帯の電話が鳴り響いたと同時に彼女は今置かれている状況に気付く。
嫌な汗が流れる。
しまった、
意識を目の前の2人に集中しすぎていた。
────────後ろに、誰かいる。
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生わさび。(プロフ) - うわぁぁ久しぶりに神作品見つけたのに終わりかぁ…!!悲し〜!! (11月1日 17時) (レス) @page10 id: 612ca8c02a (このIDを非表示/違反報告)
名無し64451号(プロフ) - 更新まってます泣 (2022年8月18日 0時) (レス) @page10 id: 6f674f571c (このIDを非表示/違反報告)
かすみ(プロフ) - 続きを待っています!! (2020年9月7日 10時) (レス) id: e53abe021c (このIDを非表示/違反報告)
ピポ助(プロフ) - この後クロロと夢主が関わる場面がとても楽しみです!また更新されることを、心待ちにしています! (2019年10月22日 21時) (レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
コハク(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます! (2019年1月26日 18時) (レス) id: 47a981dd8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高原 | 作成日時:2017年11月12日 1時