白い待ち人２【HUNTER×HUNTER】 (ページ1)

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５０話ページ1

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８月３１日、ようやく辿り着けたヨークシンシティの市場では驚くほど人で溢れていた。

それは数日後の世界最大のオークションがこの街で開かれるのも影響しているのだろう。

まるでお祭りだわ、そんな事を思っいながら辺りを見ているとドンッと何かにぶつかり、｢うわっ｣と声が聞こえてくる。

｢ごめんなさい、よそ見していたの……。｣

｢……なっ、｣

驚く声に彼女は視線を移すと、そこに立ちすくんでいるよーく知った顔に｢あら。｣と、おもわず目を見開く。

サラサラの黒髪の、切れ長の目、身につきすぎている体脂肪。

イル兄に似ているようで、何処か似ていない。

｢ミルキ。｣

｢A姉ちゃん！？｣

張り上げた大きな声に、周りの人からの視線がやけに刺さった。

どこか反応の薄い姉に、ミルキは驚きを隠せなかった。まさか、ヨークシンの市場で彼女に会うなんて思ってもみなかったからだ。

だが、それは彼女も同じ。

10歳の頃から外に出なかった弟が、この砂の舞う大陸に立っていることに少し感動していた。

｢ミルに会えるなんて嬉しい、これから一緒にご飯食べに行かないかしら……？｣

｢えっ、あ〜、まぁいいよ。ちょうど腹も減ってたし。｣

｢じゃあ、行きましょ！｣

自分の手を引く彼女に少し恥ずかしさを覚えるも、今まで見たことのないワクワクとした表情にそんな感情も消えていた。

｢うなぎ｣と書かれた暖簾をくぐり、中に入るとすぐに空いた席に案内された。ミルキとAは向かい合わせに座る。

とりあえずうな重を2つ頼むと、お水が出てきてミルキはそれを一口飲んだ。

｢それで、どうしてミルがここに居るの？｣

｢……オークションであるゲームを競り落としたいんだ。そのゲームの秘密を知りたくてさ。｣

｢そうなの、｣

自分から聞いた割に、あまり興味無さげに水を飲む彼女に、ミルキは頬を引き攣る。

家族に害が無さそうなものは基本的に心が動かないA。それはミルキの知る限りでは、昔からそうだった。

｢逆に聞くけど、A姉ちゃんはなんで？｣

｢皆と９月１日にヨークシンシティで会うって約束したの。｣

そういえばキルもこの街に行くと言ってたな、とキルアとの会話を思い出すミルキ。

｢楽しみだわ。｣と浮かれてる姉を見て、ミルキは一つの疑問を浮かべた。

｢A姉ちゃんって携帯持ってなかったよな。｣

｢えぇ、｣

｢どうやってキル達と合流すんの……？｣