二人の夜が明けるまで【JN】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:8,058 hit

合縁奇縁ページ4

.

Your side

「これまでの人生で大切だった出逢いはありますか？」

ある雑誌の仕事中、インタビュアーさんから不意に聞かれた質問に手がピクッと反応する

一緒にインタビュー受けている共演者の方が答えているのを聞きながら

私の頭に思い浮かんだのは

大切な彼と初めて話したあの日のこと

2013年、寒くて薄暗い早春の朝

韓国に来て間もない練習生のジュンと

事務所からスカウトを受けたばかりの私は

ソウルにある小さな公園で出逢った

|

|

2013年

数日前にある芸能事務所からスカウトを受けた

想像もしていなかった遠い世界に飛び込むのに

ワクワクする自分もいれば不安で押しつぶされそうな自分もいて

スカウトを受けるのか断るのかずっと考えていた

あの日珍しく早起きをした私は、朝の澄んだ空気を感じながら外を歩くことにした

流石に寒いから、とコンビニであったかいコーヒーを買ってゆっくりできる近くの公園を目指す

『寒すぎるな〜〜公園じゃなくて家に帰った方が良かったかも』

なんて独り言を呟きながら公園に足を踏み入れた私の目に飛び込んできたのは

ブランコで一人座っている男の人

この人を生涯愛することになるなんて思ってもいない私は

薄暗い早朝の公園で目を閉じてポツンとブランコに座っているその人に

少し怯えながらもその隣にあるベンチに向かった

いや正確には向かおうとした

「我累了(疲れた)」

静かな空気の中に小さく呟かれた一言

久しぶりに聞いた中国語に、そして今にも消えてしまいそうなその声に

思わず立ち止まって彼の方に目を向ける

視線を感じたのかそっと顔を上げた彼は

そこでやっと自分以外の誰かがいることに気づいたみたいで

目をぱちぱちさせた後、その顔を赤く染めた

“可愛い”、初対面の男の人に失礼ながらもそう思った

中国人かな？でもこんな時間になんで？

そんな疑問が次々に浮かび上がって

「你怎么了?(どうしたの?)」

気づいたら彼に声をかけていた

私を見つめる彼の大きくて綺麗な瞳に

この時には既に惹かれていたのかもしれない

.