剥がれる【JK】 (ページ32)

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JK side

廊下には久しぶりに大好きなヌナの姿が。

僕はヌナに気づいてもらうために大きく声をかけて手を振った。

案の定気づいてくれたヌナに近づくと、ヌナの頬が真っ赤になっていた。

僕は考える間も無く彼女の頬に手を当ててどうしたのかと問いかけた。

それでも彼女は転んだだけで大丈夫、の一点張り。

僕は彼女よりも年下で頼らない男なのか、と思わず声が出ていたようで、ヌナは口を開いた。

その内容は僕らのファンで事務所の練習生からの妬み。あぁ、いまだにこんなしょうもないことをやる人がいるんだと呆れたと同時に彼女の痛みの原因は自分自身にもあると情けなくなる。

ヌナはちっぽけな練習生よりもきっと苦しみながら生きてきたし、彼女の持つ力は世界を動かせる。

自分の力でその女を追い返したと言いながら笑っているヌナを見て僕はまた身勝手に抱きしめる。

抱きしめたヌナからは、アジアンテイストなお香のような香りがした。なぜか僕はこの匂いに安心して、すごく気持ちがよかった。

『グク、』

ヌナの声が聞こえるまでずっと夢中で抱きしめていた。僕を呼ぶ声にハッとさせられ、ここが事務所で、しかも廊下のど真ん中だということを思い出す。

「あ、ごめんなさい…勝手に。」

『ううん、グクのおかげでちょっと落ち込んでた気持ちが晴れた。ありがとう。』

そう言ってまたいつものようにフワッと笑った。