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『私、ずっと全てを隠していた、って言いましたよね。』
名前も姿形も、僕はじめほとんどの人が知らない。それはさっきも言われたことだった。
『ずっと、私は表に立つ人間ではないと思ってたんです。
でも、ある人に言われました。自分の限界が決まるのは死ぬ時だけだ、と。
それを言われたのはつい最近。みなさんへのプロデュースオファーをしてすぐだったんです。
私がプロデュースに手を抜けないのは、自分が見たい景色をあなたたちのような表に立つ人間に代わりに見てもらおうとしてるのかもしれません。
ある人に言われた時にそう気付きました。』
自分自身のことを喋る彼女は涙をこぼしていた。怖いと思っていたのがバカバカしくなった。
この人もちゃんと人間だ。
『だから、歌うことには厳しくなってしまうんです(笑)テヒョンさんはまだまだ限界なんてない。』
そうやって強がりなのか涙を流しながら笑っている。彼女からの助言を受けているのに、いたたまれなくなって口を開いた。
「僕は…非公開練習生でした。韓国ではなくはない話です。その分、寂しさも苦しさも、自分だけしか見えていなくて、ヒョンやジョングク、ジミナが何を考えているかなんて何も見えてなかったです。
でも、表に立つようになったとき、僕は1人じゃないって思いました。
他のメンバーも同じように苦しんでいる、って。僕は表に出る人間と決まっていたけど、何も持っているものはなかった。あったのは仲間だけです。
レイさんに曲を作ってもらった人はあなたのことを仲間だと思ってます。僕も、一緒に音楽を作る仲間です。
僕はアイドルで、人に喜びや感動を感じてもらえるように活動してます。それが自分自身の喜びにもなってます。
レイさんには、レイさんが思ってる以上に人を喜ばせる力を持ってるんです。
だって初めて会った僕の弱点を厳しく伝えてくれました。
あなたのその素直な言葉で、勇気づけられました。
僕、トレーニングもっと頑張ります。ちゃんと、休むっていうトレーニングもします!限界は、ないんですよね。レイさん、ほんとは歌いたいんですよね?
僕と、一緒に歌ってくれませんか?」
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作者名:ミン | 作成日時:2022年2月20日 10時