剥がれる【JK】 (ページ15)

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仕事のこと、とはわかっているのに話がしたいと言われると思わずドキッとしてしまった。

「は、はい。」

『まず、ジョングクさんはお兄さんたちがすごく大事なんですよね？』

特に彼女にヒョンたちの話をしたこともないのに、最初の一言目がそれだった。

「あ…はい。僕にとってかけがえのない存在で、ヒョンたちのおかげで僕はここまで来れました。」

『きっと、ジョングクさんのヒョンたちもあなたに対してそう思ってると思いますよ。ただ、あなたには自分を認める力がないだけ。それ以外の実力は申し分ないのに。』

PDにも似たようなことを言われた。そう言われても、と思うしかなかった。

『ジョングクさんがメンバーのことを大事に思うなら、それをそのまま言葉に落とせばいい。考えるんじゃなくて、まずは思いついたこと、感情をただ紙に書いていくだけ。』

そう言ってレイさんは僕の前に紙とペンを置いた。

僕は黙ってそれを受け取って、言われた通り今の気持ちを全て紙に落とし込んだ。

5分くらい経っただろうか。

『ほら、もう十分曲は作れますよ。』

そう言って笑っているレイさん。

書き込んでいた紙を見ると、ぎっしりとヒョンたちへの想いや自分の気持ちを汚い字でも埋め尽くしていた。

『これをただ、ちょっとだけ詩的にするだけ。今まで音楽をしてきたジョングクさんならここは簡単だと思います。』

また僕は紙に目を落とし、裏表をバサバサと変えながら言葉たちを並べる。

「…………すごい…………」

こんなに簡単なことが今までできていなかったなんて。そう落ち込みながらもレイさんの見抜く力に脱帽した。

『私はいつも曲を作る時、最初に機材とは向き合わないでペンと紙を用意するの。そこで自分の感情をぶつける。痛いくらいに。その時によって優しい言葉や汚い言葉、いろいろな感情が自分にあるんだ、って初めて客観視できる。簡単なようで、思いを込める曲を作るには思い浮かばないこと。綺麗で小説のような言葉を先に書こうとするから思い浮かばないんです。』

こんなこともできないんだ、と落ち込んだ気持ちが少し軽くなった。本当にエスパーみたいだ。