.離された手 ページ8
爆豪side
俺の前にいた小柄で、俺が将来お嫁さんにすると決めていた彼女は
今にも泣きそうな声で
「私はッッ
皆みたいに、笑えないし
過ごせない」
そう聞こえるか聞こえないかぐらいのボリュームで、告げてから逃げ去った。
爆豪「A！！」
呼んでもアイツは戻ってくることも無い。
すっぽりと掴んでいたAの腕の温もりは、
俺の右手から消えていた。
爆豪「〜ッ！クソがァ！！」
苛立ちながらも壁を殴る。
あらから数日経ってもAが、教室に来る事は無かった。
何処で何をしてるのかも、何も知らない俺は
幼馴染って言えるのか正直わかんねぇ。
なんて考えている俺とは反対に
アイツは何考えてんだろーな。
そんな考え事ばかりな俺とAの再開は
オールマイトの授業の時だ。
また今日も休みと思っていたが、遅れてきたアイツ。
「遅れました」
オール「筒井少女！話は聞いている！」
Aを見ると、それは
は？あれがコスチュームか？
下は袴というべきか？上はサラシで巻いてあるし
手のひらは包帯で巻いてあるし。
なんの格好だよ。
爆豪「おい！A！」
俺が呼ぶとすぐさまオールマイトの方へ行き、聞こえてないアピールのA。
「オールマイトさん、私のペアは？」
オール「...えっと、筒井少女は私と勝負にしよう！」
「うわぁ、今考えたよね」
オールマイトの答えに俺やクラスが反応したのは言うまでもない。
爆豪「A、無視たァ良い度胸してんじゃねぇか！」
「ハァ、かっちゃん」
そう言って俺の目を見ると
悲しそうにお前は
「追いかけないで」
そう言った。
それは
過去のお前を追いかけてる俺にか？
それとも
今のお前を知りたくて追いかけてる俺にか？
また行き場のなくした俺の右手。
そして俺の前からまた消えるアイツ
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作者名：蛍 | 作成日時：2020年10月17日 20時
