神隠し (ページ4)

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your side

？？「おかえり、佐久間。いやほんと、いい匂いするよねー」

？？「だよね、だよね！あ、おねーさん、膝けがしてんじゃん！おいでおいで！」

目の前のピンクの頭がこっちを向き、膝の怪我を確認すると、私の腕をとって引っ張っていく。

待って。おいしそうとかなんとか言っていなかった？なんの話だ。

仮に私の話だとしたら…？

ダメだ。疲れた体と頭じゃなにも考えられない。

それに見るからに人間だし、いつもの妖怪らしい気配もしないから大丈夫だろうと安易に考えてしまう。

腕を引かれるがまま階段に座らされると、ピンク頭さんが「阿部ちゃん呼んでくる！」と叫んで、神社へ入っていった。

？？「さて、お嬢さん。何者？
あ、俺はふっかっていうの。さっきのは佐久間ね」

隣に座った横顔は、キセルを袂にしまいながらゆっくりとこちらを向いた。

一瞬紫に光った目が私を捉えて、息をのんだ。

？？「ふっかただいまー。けが人がいるんだって？」

急に後ろの神社の障子が急に開き、中から男性が出てきた。

仕事帰りなのだろう、緑のネクタイを緩めたスーツの男性が出ていた。

？？「あ、阿部ちゃんおかえりー。あのさ、二人ともタイミングが良くないのよ。
もうちょっとカッコつけさせてくれないと。」

？？「ふふっ、えー、ごめん。あ、こちらがさっき佐久間が言ってた人？
こんばんは。この神社の神主です。怪我してるって伺ったので絆創膏と消毒持ってきました。大丈夫ですか？」

人当たりの良さそうな顔が救急箱を片手にそばに座ると、こちらをのぞきこんできた。

A「…あ、すみません色々用意していただいて。でも、帰れますので大丈夫です。本当にありがとうございます。」

ぼーっとしていた頭を働かせて、先ほどの美味しそうという言葉の危機感を思い出す。

見ず知らずの人にお世話になるのも申し訳ないし、明日も仕事だし。

そう思って立ち上がった。

？？「でさあ、阿部ちゃん。

この人多分人間じゃないよ？」

？？「え？」

A「え？」

阿部ちゃんと呼ばれた人と目がこちらを見つめる。

A「…」

？？「...手当もした方がいいと思いますし、よかったら座ってください。

大丈夫ですよ。取って食べやしませんから。」