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阿部 side
目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまった。
ゆっくりと寝返りを打って、隣に寝ているあったかい塊に手を伸ばす。
顔には涙の跡がくっきりと残っていた。
俺の前では絶対泣かないくせに。
起こさないようにそっと抱きしめる。
...また、泣かせてしまった。
もっと強くならなきゃ。みんなを守れるだけの力が欲しい。
起こさないように、そっと腕を解きベッドから起きる。
涙の後の残る頬を撫でてから部屋を出た。
佐「...いつも、ありがとう。阿部ちゃん。」
リビングに降りたらいい匂いがした。
館「おはよう。阿部ちゃん。」
阿「おはよう、館さん。
昨日遅かったんじゃないの？
ありがとう、朝ごはん作ってくれて。」
館「うん。まあでも、こっちも大変だったんでしょう？
会いたかったな、半妖ちゃん。はい、コーヒー。」
阿「ありがとう。うん、まあね...」
佐久間の寝顔を思い出して、カウンターテーブルに突っ伏す。
阿「どうしたらいいのかな...」
館さんがポンポンと頭を撫でてくれた。
深「...おはよ...」
阿「おはよう。あれ？ふっか、よく起きれたね？」
深「んー。あ、そういえば昨日の集会なんだったの？」
館「ああ...
全国各地で同時多発的に霊山が襲われてるらくて、今回はそれの情報共有。
翔太がめんどくせえの、なげえのってずーっと不機嫌だった笑」
うちの山はみんなのおかげで俺が当主になってからは、大規模な襲撃に遭ったことはない。
だが、問題はAちゃんだ。
阿「これ、見て。」
突っ伏していた体を起こして、カウンターテーブルに部屋から持ってきていたものを出した。
深「うわ。めんどくせえもん寄越しやがって」
館「...半妖ちゃんがバレるのも時間の問題だね。」
俺が出したのは昨日佐久間がぶっ飛ばした敵が消えた後に落ちていた割れたお面と人型の小さな白い紙。
式神使いが使う紙だ。
つまり、相手には昨日の状況が筒抜けということだ。
深「んで、どうするよ。阿部ちゃん」
阿「...あ。」
館「ん？」
阿「ケーキ。」
深「ああ！」
館「ケーキ？今朝、冷蔵庫にそんなのなかったよ？」
阿「え？うそ？」
深「...やりやがったなアイツ。
全部食いやがった。」
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作者名：Lagoon | 作成日時：2022年6月13日 0時
