神隠し (ページ21)

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岩本 side

家でみんなを待ってた時に急にふっかが血相変えて、「おい！行くぞ！」なんて言って立ち上がるからびっくりした。

確かに結界の中に入ってきたやつがいたのはわかっていたけど、そこまで強い奴だとは感じなかったし、何より佐久間がそばにいるから心配してなかった。

よっぽどのことなのか...？

境内へ急ぎながら、烏と視界を共有して山全体を確認するも、異常はなさそうだ。

神社に着くとちょっとだけ美味しそうな匂いがしていた。

着いた時には、立ち尽くす佐久間と蹲ったAさんに駆け寄る阿部がいた。

山に入ってきていた奴の気配はなくなっていたし、見る限りちょっと美味しそうな匂いがするぐらいで周辺も問題無さそう。

深「っ...やっばい...これはキツイわ…」

ふっかが辛そうに座り込んだかと思うと、佐久間の気配が一変した。

まずい。暴走だ。

ふっかが阿部に向かって叫んだのと同時に、彼女のもとまで飛んだ。

Aちゃんを抱えて神社上空を飛びながら、どうしたものかなと考えていた。

A「な、んで...？」

真っ赤になっている手がよほど痛いのだろう。額には汗がにじんでいた。

岩「...ああ、俺とふっかで結界張ってるからね。

よそ者入ってきたらすぐわかるんだ」

手、大丈夫そう？」

A「大丈夫です...めちゃくちゃ...痛いですが...笑」

岩「しかしまあ、鼻の効かない俺でも匂いがわかるぐらいだから、ふっかと佐久間は相当なんだろうな。」

A「...そうなんですか？」

岩「烏ってほとんど嗅覚ないからさ笑」

とりあえず、今は彼女にはここから離れてもらったほうがいい。

ああなった佐久間はちょっと厄介だし。

もしふっかが使い物にならなかったら、俺が止めるしかない。

岩「ごめん。今日はこのまま家まで送るよ。

荷物は後で俺の烏が届けるから、心配しないで。」

A「あ...すみません...」

そう呟くと、彼女は目は閉じてしまった。