神隠し (ページ2)

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your side

A「うわ、血が出てるかも...。」

黒のスラックスには穴こそ空いてなかったが、膝は盛大にすりむいている可能性が高い。

服の汚れをはたいて家へ帰る。

A「ほんと、ついてないな。」

突然だった。

家まであと数百メートルのところまで来て、人生で感じたことのないような悪寒に襲われる。

これはやばい。

後ろで２メールほどありそうな大きな気配を感じる。

どのぐらいの距離感にいるのかわからないが、ズルズルと何かを引きずっている音が聞こてきた。

全身からどっと冷や汗が噴き出す。

絶対に振り返るな。長年の感がそう言ってる。

悪寒で動けなくなる前に、はじかれたような走り出した。

幸い足の遅い妖怪だったようで、すぐには追ってこなかった。

だが、このまま家まで来られたら厄介だ。

どうしたらいいかもわからないまま家を通り過ぎて住宅街を抜ける。

月明かりが綺麗な夜だった。

息を切らして足が止まった時、ざあっと風が吹いた。

もうどこまで走ってきたかわからない。

風の吹く方を見るとその先には鳥居があり、そこから石の階段が続いていた。

こんなところに神社なんてあったっけか。

でも、大概の妖怪は鳥居の中に入ることはできない。

とりあえず、今はここに逃げよう。

森の中入口でぽっかりと口を開けた鳥居に引き寄せられていった。