照くん、離れてください！ (ページ8)

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「照とどういう関係なの！？」

プレゼンの準備をしていた最中、

どかっと椅子をひっくり返して座った色白お兄さん。

『どういうって……別に』

「じゃああんなアプローチするか普通！？」

あれからというもの、

"これ照が渡してって！"

そんなようなセリフを何度も聞かされて、

チョコに、ドーナツに、フィナンシェに、

おまけに花束まで。

あの時、"私に近づかないで"
って言っちゃったばかりに、

これでもかってくらいのプレゼント総攻撃。

私、そろそろ精神が持ちません。

まあ、ふっか先輩…
あぁ、深澤先輩の言う通りなんだよね。

深澤辰哉。

ゼミ長。
真面目じゃないけど、世渡り上手でモテる。

なんだかんだ優しいし面白いから、嫌いな人はいないの。

ただ、この人からは、
度数高めのリキュールみたいな匂いがする。

あんまり近くにいると酔っちゃうから気をつけないと。

「ふっか～、そこ追求するのは野暮じゃない？」

途中、話に割り込んで来た佐久間先輩に助けられる。

「で？Aちゃんは照のことどう思ってんの？」

…あー嘘、追い討ちかけられた。
噛んでやろうかこのアニメオタク。

『…先輩方には関係ないです』

「くぁー！でたよ！！ツンデレ！！
佐久間さんそういうの嫌いじゃないぞ！」

「佐久間うるせえ！」

べしっ、って音がなるくらい叩かれても嬉しそうな佐久間先輩。

…あれだ、わんこ。しっぽが見える。

「…まあ、ここだけの話だけどさ、」

椅子を引っ張って近づき、小声で囁くふっか先輩。

「あいつマジなんだよ。
その気がないならきっぱり断ってくんね？

照のためにも。」

先輩の言葉が、深く胸に刺さった。

"普通の女の子"に生まれてさえすれば、私は…

「ま、…そんなわけだから。
っておい佐久間準備しろ！」

資料を用意するはずが、
アニメに夢中になってる先輩を横目に、

『いっそアニメの世界ならよかったのに』

聞こえないくらいの声で呟いて捨ててやった。