照くん、離れてください！ (ページ6)

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散々揶揄ったあげく、バイトの時間だからって爽やか～に帰ってったけど、

あいつ、何気にモテるから周りの目線が痛くて。

逃げるように教室までの道を歩き出した。

唇に残る感触。

なんとなく、嫌じゃなかったんだけど、
それはアイツが同族だからってことにしておこう。

けど、現実を思い知らされた。

キスをしても、お互い何の変化もないのは、

お互いが人間じゃないから。

もし、相手が照くんだったら…

「A！！」

後ろから名前を呼ばれて振り返ると、

『すとぉーーーっぷ！！！！！！』

思いっきり腕を伸ばした私。

目を丸くして立ち止まった、照くん。

『あ…いや…その……』

近づきたい。

そばにいたい。

でもそれは許されない。

「…何で？

何で俺のこと避けるの」

遠くからでもわかるくらい、悲しい目をしてる。

「先輩たちはよくて、何で俺はダメなの」

徐々に、距離を詰めてくる。

たまらなく甘い香りに、脳から危険信号が出てる。

「…俺のこと嫌い？」

『え……？』

「俺は好きなんだけど、Aのこと」

待って待って待って

照くんが？私のこと？

好き？

『え…っと、…私、は…』

どうしよう。
ドッキリじゃないよね？

こんなの夢みたいじゃん。

なのになんで素直に好きって伝えられないの？

『…い、今はそういうの、考えてなくて！』

うそ！嘘！！大嘘！！！！

目の前のあなたのことしか考えてないです！！！！

「そっか。…でも、よかった。

俺嫌われてなかった、笑」

そんな優しい目で見ないで、

そんな可愛い顔して笑わないで、

「A、俺、」

『わかったから！！…十分伝わったから、

これ以上、私に近づかないで…ください、』

私と照くんの間、1メートルもないくらい。

…このままじゃ大惨事になるとこだったよ。

急いでそのまま向かって歩いたから、

照くん、どんな顔してたのかな、わからないけど、

「俺諦めねえから！！」

そう聞こえたのは、絶対に確かなんだ。