照くん、離れてください！ (ページ5)

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「へえ、お前が恋ねえ」

相変わらずのふてぶてしい態度。

それさえ画になってしまうくらい顔もスタイルもいいのが余計にムカつく。

「で、まさか相手は人間だなんて言わないよなあ？」

ぐっと顔が近づく。

何も言えなくて、目を逸らしたら、
思いっきりデカイ溜息をつかれた。

「…どういうことかわかってんのかよ」

『わかってるよ！…わかってるから悩んでるのに』

どっかの物語みたいに、

吸血鬼に噛まれた人間が、吸血鬼になる、

なんてことはありえない。

むしろ、それよりもっと酷い。

私たちの身体に流れてる血液や体液は、

人間とは異なった細胞から出来てる。

輸血するとき、別の血液型の血を輸血したらどうなるか、それくらいみんながわかってると思うけど、

要は、同じようなことになりかねない。

だから、私が彼に噛みついたとしても、

傷口を舐めたり、

夢みたいだけど…キスをしたりなんてしたら、

照くんの命を危険に晒すことになる。

稀に、私のお父さんみたいに平気な人もいるみたいだけど、

そんなの奇跡としかいいようがない。

だから私たちは人間の血を吸うことをやめた。

社会に馴染んで、迷惑をかけず、
ただ平穏にひっそり生き延びるために。

「いい、俺らは、人間じゃない。」

『…知ってる』

「だから無理。諦めろ。」

『んぇ～そんなこと言われてもさあ～』

甘いハニーラテを握りしめて、項垂れる私。

なぜか笑いながら頭をわしゃわしゃと撫でた。

「こんな可愛いA初めて見た、お前可愛いのな」

普通の女の子ならキュンとするセリフなんだけど、

こいつの場合、完全に私をバカにしてるだけ。

「もっとよく見せろよ、」

『やめてよ！ばかばか！』

俯いた私の顔を覗き込んでくるんだけど、

これって側から見たら、ただいちゃついてるカップルだよね？
最悪なんだが？？？

「鈍感だよなあお前は」

唇に、ひんやりした感覚が残る。

「俺でよくね？」

『…いいわけねえだろこのばかー！！！！！』

最悪最悪最悪！！！！！

この男、要注意人物でした。