109話○┓ ページ42
空白の三日を通り過ぎ、やってきた四日目。
お互いに告白しあって、あれ恋人になったんじゃないのって。
「なんでなってないの!?」
「それは私が聞きたいです。」
暖かなお昼、窓際の席で仲良くお弁当を広げる。しずきさんが箸を持ったまま、椅子をひっくり返して立ち上がった。
「いやいやいや、普通告白したなら付き合うよね!?ね、桐斗君!!」
「まあ、うん。一般的にはね。」
赤司君のお弁当だけ無駄に豪華で、平凡な市民の弁当とは比べ物にならない。そんなエビ付きのお弁当を、丁寧に食べ進めながら桐斗君は苦笑いをした。
その横で、可愛らしいうさぎりんごと、ハート型の卵焼きが入ったthe女子なお弁当を持ち上げ、立ちながら質問しまくるしずきさん。
「一般的にってことは、その例外が"及川さん"ってこと?というか例外って何、例えばどんな?」
「…例えば、か。……照れてるとか?」
赤司君が私に視線を送る。
「はてなマークで視線向けられてもわかりませんよ。私及川さんじゃないですし。」
「…うん、そうなんだけどね。」
三人の間をなんとも気まずい沈黙が流れる。
「…Aちゃんはどうしたいの?」
唐突な質問に、食べかけていた卵焼きが喉につかえた。
「…ど、どうしたい…と言われてもですね…」
しずきさんが静かに座り、背筋を伸ばして真剣な面持ちで私を見る。赤司君もしずきさんの変化に気付き、目を私に向けた。
「Aちゃんが"どうしたいか"だよ。Aちゃんは、及川さんのこと好きでしょ?」
そうです、と言葉にできなかった。卵焼きのせいだろう。喉がつっかかるから、頷くことしかできない。
「なら結論は一つですよ!」
「なんで急に敬語?」
ごほん、とわざとらしく一度咳払いをして、再びしずきさんが喋りだす。
「Aちゃん、及川さんが言わないならAちゃんが…!!」
大きく息を吸いこむと、これまた大きくむせ返った。きっと決め台詞を言おうとしたんだろうが、台無しだ。
と、同時に予鈴が鳴った。物言いたげな顔で席に戻ったしずきさん。
"及川さんが言わないなら…"
「…あ、そうか。」
鐘の音が鳴った。
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あおインコ(プロフ) - あやの♪さん» ありがとうございます!!まさに青春です…。もちろん精一杯楽しみたいと思います!!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年4月8日 7時) (レス) id: 2941e47bdf (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - 高校進学おめでとうございます!青春真っ只中って感じですね(*´∀`*)高校生活楽しんでくださいね! (2017年4月8日 1時) (レス) id: ece222c786 (このIDを非表示/違反報告)
あおインコ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。待っていてくださり本当にありがとうございました。これからまた更新再開しますので、よろしくお願いしますね(*^^*) (2017年3月2日 14時) (レス) id: 2941e47bdf (このIDを非表示/違反報告)
あい - 長文でごめんなさい。 (2017年3月2日 1時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか僕が読んでるやつに更新停止の作品が異様に多いきがしてならないのですが。しかも受験生が多い!とまあ、愚痴はこれぐらいにして早く復帰してくださいね。結構夢主と及川さんの絡みが好きなので!待ってます! (2017年3月2日 1時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおインコ | 作成日時:2016年7月14日 18時