106話( -`ω-)b ページ38
翌日はとても清々しいほどの大雨だった。
昨日、私が見つけた答えが正しいのかわからないけど、それを伝えてどうにかなろうとか思ってるわけではないけど。
それでも私は、やはり言いたくなった。
やっと、わかったから。
傘を差すのは松葉杖では辛いけど、前から入ってくる跳ねた水が気がかりなだけで、車椅子はとても楽だった。
早朝でもこのどんよりとした重たい空が、私の決心を覆そうとのしかかってくる。気持ちが沈むような空だけど、少し嬉しかった。
晴天でもあれば、私は不安になっていたと思う。何もかもが成功しそうな晴天は、失敗した時に辛い思いが倍になる。だけど最初から失敗したような曇天の空なら、失敗しても、すぐに立ち直れそうだから。
大雨なら尚更いいだろう。全ても包み隠してくれる、音と水で消してくれる。自然が作り出した隠れ部屋だ。
体育館の扉は開いていた。
私が一番に開けるはずの扉だった。
でも、今日は違う。私が開けたんじゃない。
私が開けさせた。
扉の向こうへ行けば、もう元に戻れなくなるかもしれない。余計辛くなるだけかもしれない。
私は案外臆病だ。
人の心を探るのも、人に心内を探られるのも怖い。
自分が辛くなるかもしれないから。相手を苦しませるかもしれないから。
身勝手で、臆病で我が儘な感情が、喉の奥で出て行く瞬間を待っている。
「大丈夫、私は大丈夫。」
深呼吸を二回して、私は扉の向こうへ進んだ。
そうすれば、そこにはあの人がいる。
私はその人の名前を呼ぶ。
「及川さん」
振り向いたその人は、やっぱり私の思う通り気まずそうな顔をして私を見る。
「話があって、来ました。」
まずは、しっかり自分の要件を言う。
話というほどの話ではないけど、話というより、言葉というほうが合っている気がする。
「単刀直入に言わせてもらいますね。」
大きく息を吸った。
及川さんは私をじっと見つめていた。
「私、及川さんのこと 好きみたいです。」
激しく振り続ける雨は一向に止む気配がない。雨は天井に落ち、大きな音を立てる。
鈍く胸を突く音が、天井に落ちる雨粒の音だと思いたかった。
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あおインコ(プロフ) - あやの♪さん» ありがとうございます!!まさに青春です…。もちろん精一杯楽しみたいと思います!!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年4月8日 7時) (レス) id: 2941e47bdf (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - 高校進学おめでとうございます!青春真っ只中って感じですね(*´∀`*)高校生活楽しんでくださいね! (2017年4月8日 1時) (レス) id: ece222c786 (このIDを非表示/違反報告)
あおインコ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。待っていてくださり本当にありがとうございました。これからまた更新再開しますので、よろしくお願いしますね(*^^*) (2017年3月2日 14時) (レス) id: 2941e47bdf (このIDを非表示/違反報告)
あい - 長文でごめんなさい。 (2017年3月2日 1時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか僕が読んでるやつに更新停止の作品が異様に多いきがしてならないのですが。しかも受験生が多い!とまあ、愚痴はこれぐらいにして早く復帰してくださいね。結構夢主と及川さんの絡みが好きなので!待ってます! (2017年3月2日 1時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおインコ | 作成日時:2016年7月14日 18時