87話 ページ23
ピンポーン…
チャイムの音が響いて数秒後、ドアがゆっくりと開いた。
中から出てきたのは、
A「…ん?…あ、国見?」
見るからにだるそうで、顔が少し火照っている部屋着姿のAだった。
A「…どした?」
国見「あ、これ」
そういってプリントの入った封筒を差し出す。それを受け取ろうと手を伸ばしたAだったが、
ふらりとバランスを崩し、国見の方に倒れこむ。
国見「!?A?」
A「……!あ、…ごめん」
国見の胸に思いっきり突っ込んでしまったA。ごめんと謝るものの体が思うように動かず、退くこともできなくなってしまった。
A「…ぅ」
国見「……大丈夫?凄いあったかい気がするけど…」
A「え?あぁ…だいじょーぶ、…と思う」
国見「ちょっと、こっち向いて」
A「…ん?」
胸に(仕方なく)埋めていた顔を上げ、ゆっくりとこちらを向く。
頰はさっきより火照っていて、息も荒い、目には少し涙が溜まってる。
その表情に、彼は自分の自分に危機を感じた。
そして思った。
これは、…いろいろやばい…
…と
A「…?国見、なんだよ」
国見「あ、いや、…どのくらい熱あるのかなって…」
スッとAを支えていた手を伸ばし、彼女のおでこにあてる。
側から見ればそこらへんのリア充だ。
だがこの二人が鈍感な為、自分自身の気持ちすらわかっていない。
鈍感とは、こうも辛いものなのだろうか。
国見「え、凄い熱じゃん」
A「そ、か?…あーでも、さっきより身体きっつい、かもな」
国見「…はぁ、じゃあほら早く家の中入って、俺も入るけどいい?」
A「だいじょーぶだっつの、一人でなんとかでき、る…から…」
国見に支えられなくなった体は、簡単に反対方向に倒れていく。
あ、だめだ…
そう思ったとき、前にお姫様抱っこされたときのあの匂い、さっき胸に突っ込んだときの国見の匂いでいっぱいになった。
そう、今彼女は、抱きかかえられているのだ。
あの骨折大事件の時のように。
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あおインコ(プロフ) - 嬶さん» ありがとうございます!この作品最後の更新が随分と前なので、コメントが頂けてすごく嬉しいです(^^) (2019年2月15日 21時) (レス) id: 566ade62bb (このIDを非表示/違反報告)
嬶 - おもしろいし、国見ちゃんが好きです。 (2019年2月8日 11時) (レス) id: 99593e4c9e (このIDを非表示/違反報告)
あおインコ(プロフ) - 飯を求めて三千里さん» あ、ありがとうございます…。そんな、笑わせるななんて、私には無理かも←これからもよろしくです! (2015年12月29日 9時) (レス) id: 7ba3704a0a (このIDを非表示/違反報告)
飯を求めて三千里 - 何これめっちゃおもしろいのだよ笑わせるな (2015年12月29日 8時) (レス) id: 4ecd63fe5b (このIDを非表示/違反報告)
あおインコ(プロフ) - フクネコさん» ありがとうございます!!すごい嬉しいです…。あ、涙が…いや塩が。 (2015年11月21日 20時) (レス) id: 7ba3704a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおインコ | 作成日時:2015年4月20日 23時