最期は、 ページ34
「なんや、まだ立てるんか」
「…ぶっ潰す(ボソッ」
まさに、地獄絵図だった。
お互いがお互いを屈服させようと、相手を傷つけていた。
「ねぇ香純、Aヤバくない？」
「うーん、ヤバいかも」
隣にいた同級生の女テニの子の問いに、Aのペアとして神妙に答える。
もう、止めてあげたいくらいだ。
忍足先輩とA。
決して優しい人たちではないけど、酷い人たちでもなかった。
まして忍足先輩は、Aに恋慕を抱いていた筈だ。
なのに、どうしてこのような削り合いが出来ようものか。
「３４−３５」
Aが一点リードした。
そして、次は忍足先輩のサーブのターン。
「はぁ…っ！」
もう、二人とも、汗だくだくだ。
でもそれは、疲れからくる汗だけではないだろう。
忍足先輩は利き腕。
Aは利き足の腿。
どちらも、目を当てられない程真っ青に腫れ上がっている。
あれは、信じたくないけど、打撲痕だ。
Aは忍足先輩の二の腕を着実に狙い、
忍足先輩もAの太腿を再起不能にするレベルで打ち込んでいる。
「っあ！？」
「A…！」
忍足先輩のスマッシュのはねっ返りがAの太腿を正確に抉り、
Aが声にならない悲鳴を上げた。
ボールがコロコロと無情に転がり、再び同点になる。
「A、ボールくれや」
忍足先輩の挑発に、Aが半ば寝そべりながらボールを投げた。
先輩はボールを取ろうとして、ハッと腕を戻す。
青あざをグッと抑えて、蹲った。
「男の俺が負けたら、ダサいやん」
よろよろと二人してベースラインまで下がり、キッと前を睨む。
忍足先輩がサーブを打って…、
「フォルト！」
ギリギリ、ネットに掛けた。
ボールを追いかけて前に出てきたAは、足を戻そうとする。
…と。
「Aっ！」
コートの真ん中で、急に、倒れた。
五秒待って、ピクリともしなかったので、慌てて駆け寄る。
「A、大丈夫！？」
待機していた医療班が、視界の端で動き出した。
それも待たずに起き上がらせると、Aは足を押さえて呻いた。
血の気が引いていく。
先生たちが駆け寄ってきて、あたしは周りに引き剥がされて。
ふと、忍足先輩の方を見たら。
「…はは、」
腕を押さえてしゃがみ込んでいた忍足先輩が、
沢山の先生や生徒たちに囲まれながら、
僅かに笑みを浮かべているように見えて、思わず戦慄した。
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野乃花 - 忍足さん病んでましたね (2015年9月1日 21時) (
レス) id: 3db69e2839 (このIDを非表示/違反報告)
暗空 - だってここ成長しないんだもん。友達に大幅に遅れを取ってさ。私、昔は一番うまかったのに。 (2015年2月12日 11時) (レス) id: 8dd2633076 (このIDを非表示/違反報告)
暗空(プロフ) - 梅さん» ありがとうございますっ。面白いと言ってもらえてうれしいです。 (2015年1月24日 22時) (レス) id: 8dd2633076 (このIDを非表示/違反報告)
梅 - 今日初めて読んだのですが、とても面白かったです！ (2015年1月23日 18時) (レス) id: 934c5ec7cf (このIDを非表示/違反報告)
置物娘(プロフ) - 暗空さん» いいえ(^^)
こちらこそ楽しかったよ♪ (2015年1月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 1ca20cb2e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暗空 | 作成日時：2014年12月20日 22時
