Bitter Sweet Love~苦くて甘い恋の味~

Diary35 ページ37

どうして忘れてたんだろう…
諏訪部さんはいつでも私を見てくれていた

学校の講習の時も気にかけてくれていた
なのにどうしてあの時素直にならなかったのだろう

何もせずに勝手に落ち込んで、人のせいにしていたのだろう

諏訪部さんはいつだって私の事を思って行動してくれていたのに…

『ごめん、なさい…』

小さい声でそう呟き額に手をつけ顔を伏せる

もっと早く気づけていたら…今頃なにか変わっていたのだろうか

後悔と悲しみの念が押し寄せてきて涙が出そうになる

我慢出来ずに零れた涙は私の頬を伝い静かにカウンターテーブルに落ちた

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

それとほぼ同時だったろうか
いきなりお店のドアについてるベルが鳴りお客さんが入ってきた気配を感じた

慌てて頬の涙を拭き顔を手で隠すようにしていると後ろから声をかけられた

「良ければお隣よろしいですか？愛らしいお嬢さん」

それはずっと大好きだった人の声
ずっとずっと傍で聞いていたいと願った声
そして、1度手放してしまった大切な人の声

ゆっくり振り向き声の主を確認する
そこには諏訪部さんが1年前のあの時と変わらない優しい、でも少し困ったような笑顔で立っていた

『す、わべさ…』

ダメだ、泣いちゃう
諏訪部さんの姿を見てほっとした様な感覚に襲われる

諏「Aちゃんごめんね、遅くなって」

優しい声色でそう言いながら指で涙を拭いてくれる諏訪部さん

私は思わずその手を掴み自分の頬を擦り寄せる

『ほんものっ…ですよね、ゆ、めじゃ…ないっ…ですよね…？』

私の問いかけに優しく頷き頭を撫でてくれる

『よか…たぁ…』

やっと会えた、やっと話せた

言いたいこと、伝えたいことは沢山あるのに上手く言葉が出てこない

とりあえず泣き止まないと…
少しずつ落ち着いてきて頭が冷静になっていく

待って、私今諏訪部さんの手に頬擦り…

『ご、ごめんなさい！////』

慌てて手を離し勢いよく頭を下げる
すると我慢できなかったのかそれを見て吹き出した諏訪部さん

諏「ふはっ…はははっ…」

『そ、そんなに笑わなくても…』

諏「ごめんごめん…あんまり顔真っ赤にして謝るから、可愛らしいなって思って…くくっ…」

『絶対嘘だ、それ…』

久しぶりに会ったのにあの頃と変わらない諏訪部さんに少しホッとしてる自分がいた

するとそこに店長が戻ってきた

店長「はい、カフェラテお待たせしましたー…あ！阿部さん！」

『え、阿部…？』

諏「ご無沙汰してます」ﾆｺｯ

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