欲張り ページ24
『俊典楽しかった』
「それは良かった」
俊典との初めての買い物も睡との服選びも全部初めての事でなんだか心が弾んでばかりだった。
「睡くんのお蔭で服も沢山買えたし良かったよ」
隣で日用品なんかが入った3つの袋をぶら下げながら俊典は息を吐いた
睡はまだ足りないと言っていたが私にはもう充分すぎる
「他に何かあるかい？ゲームが欲しいとか本が欲しいとか」
『げーむはやった事ないけど必要性はない。知識ならインプットされているから要らない』
「なら食べたい物は…って君にはそう言う知識は余りなかったね。」
苦笑いしながらも俊典の欲しい物は？というのは続いた
偶に聞いたことのない物も含まれていたが全て必要性が無いと断った。
何故そこまで私の欲しい物を知ろうとするのか判らない…
「はは、すまないね。君の親になると決めたのだけど…何分親代わりなんて初めてで少しでと君に何かしてあげたいと思ってしまってね」
…………。
こうして夕暮れの道を歩いていると昔の事を思い出す。
笑いながら帰路に着く家族が羨ましかった。
欲しい物はない、でもしたい事はある
だから少し甘えても良いのだろうか。
俊典の袖を掴みながらしたかった事を言葉にした。
『…手を……繋ぎたい。』
「？…そんな事で良いのなら幾らでも構わないよ」
恐る恐る手を前に出せば直ぐにゴツゴツとした温かい掌が私の手を包み込んだ
それだけでポカポカとしたものが心を満たしていくのを感じた
人間が羨ましい
いつもこんなポカポカとしたものを感じてられるなんて
『ありがとう俊典…私今凄く…幸せだ』
昔見ていた景色がこんなにも変わるなんて知らなかった
俊典と逢ってから嬉しい事だらけだ
『俊典は私には欲がないと言うがそれは違う。私は欲張りだ』
俊典がくれるこの温もりをもっと欲しいと思ってしまった。
バケモノの私が人に成りたいと望んでしまった。
『でも…そんな欲張りな私でも良いと言うのならこれからも…傍に居て欲しい』
断られたらどうしよう。そんな恐怖が頭の中をぐるぐると彷徨う。若干の震えが残る手で縋るように俊典の手をぎゅと掴んだ
「嗚呼勿論だよ」
それに答えるように俊典は私の手を掴み返してくれた。
欲しかった温かな時間。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
人間失格な人間？２←(プロフ) - メグミさん» コメントありがとう御座います！轟くんの出番まで少々掛かりますがそれまでお待ち頂けると嬉しいです(´▽`)。更新頑張ります！笑 (2018年10月6日 7時) (
レス) id: 728099f7d0 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - すごく面白いです！轟くんの出番待ってます！笑笑更新頑張ってください！ (2018年9月30日 17時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
人間失格な人間？２←(プロフ) - こたぬき@ショタコンさん» コメントありがとうございます。キーワードから結構なネタバレとなっていますが読者様に喜んでもらえるような小説を書けるよう頑張ります。応援ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月16日 20時) (レス) id: 728099f7d0 (このIDを非表示/違反報告)
こたぬき@ショタコン - 轟くん落ちなんですか？！キーワードに書いてあったんで驚きましたw。 面白いです！更新頑張ってください！応援してます！！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：人間失格な人間？ | 作成日時：2017年8月2日 16時
