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白と青の吸血鬼 : after the rain★※〔あおいろさんリク〕 ページ38

『んん…っ
はぁ…疲れた…』





「A料理
下手すぎだから」






『だって苦手なんだもん
お陰で指切っちゃったよ』





右の人差し指に貼られた

水色の絆創膏を見せると


友達がAに料理は無理だ、と
楽しそうに笑う。


ちなみにこの絆創膏は

この子が貼ってくれた物だ。




『もー、またそうやって意地悪言う』





「ははっ、ごめんって」




優しい友達に

楽しい毎日。




特に何の取り柄もない私でも



こんな平凡な人生は、

結構気に入っていたりする。





このままずーっと
ぐだぐだ生きていけたらなぁ…






なんて、後から思えば

そんなことあり得なかったのだけど。






「あ、ねぇ!そこに新しく出来た
パン屋さん寄ってこうよ!」




『また甘いもの?
太るよー』





「う、うるさい!…っきゃ!」





隣で歩いていた友人が

ドンッと言う音と同時に

短い悲鳴を上げて



よろっと少しだけ
こっちに倒れ込んでくる。





「あ、す、すみません…」






友達が謝ったのを聞いて


誰かにぶつかったのか?



と、思い、

ひょいっと覗き込んでみると


そこには黒い帽子を被った
背の高い銀髪の男の人。





「……いえ、こちらこそ、すみません
怪我はないですか?」





暫しの沈黙の後に

銀髪の人が帽子を外して


申し訳なさそうに微笑む。



大きい目が細められて、

前髪がサラッと掠めるのを見ると


不覚にもドキッとしてしまった。





「あ、だ、大丈夫です…」






「そうですか、良かったです」






男性にしては高めの、心地よい声。


私はなにもできなくて

とりあえずその場を見届けていると


私と戸惑う友達の子に一礼してから

その男の人は去って行った。





「い、行こっか!」





『あ、うん…』






しばらく黙って、立ち尽くす私と

なんとも言えない空気に
耐えられなくなったのか


その子は

私の手を引いてその場を離れる。




綺麗な、人だったな




何故だかその場から離れるのを

名残惜しく感じながら



私は引っ張られる方へと
素直に歩いて行った。









「…見付けた」








鋭い牙を見せて

妖しく口角を上げる


白い悪魔に気付かずに。

白と青の吸血鬼 : after the rain★※2→←影の行く先 : Sou★※〔レイさんリク〕



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日菜多(プロフ) - まふまふさんの身長のお話、178−148=30ですよ((コソッ (2020年2月25日 23時) (レス) id: 679cbd91ae (このIDを非表示/違反報告)
らお。(プロフ) - リクエストさせて頂きたいです。Souさんの、ヤンデレ、激甘、Rスレスレで、読ませて頂きたいです (2018年8月17日 10時) (レス) id: 61cd4351e7 (このIDを非表示/違反報告)
ななお - リクエスト失礼します。Souくんの話を読ませて頂きたいです! (2018年8月16日 11時) (レス) id: 61cd4351e7 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ - 失礼します!凄く面白くて夢中になって読んでましたwあ、進撃の小人と巨人のまふくんのセリフの身長間違ってました!お節介かもしれませんが… (2017年12月6日 22時) (レス) id: 9e164e5257 (このIDを非表示/違反報告)
む犬 - ありがとうございます!またリクエストします! (2017年10月9日 13時) (レス) id: f250e10484 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サテラ | 作成日時:2017年8月27日 3時

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