危ない蜜３【歌い手短編小説】

奇病者施設 : そらりぶ○☆〔桃月さんリク〕 ページ27

『んー…はい
今日も二人とも異常無し！！』





私がニコッと微笑むと

二人も安心したようにふわりと笑う。





「本当ですか、ありがとうございます」





ほとんどいつも無表情のそらるさんも

少しだけ口角が
上がっているような気がした。





「あ、A！
今日一緒にご飯とか食べれる？」





『あ、もうご飯時だね
うん、いいよ今日も一緒に食べよ！』






続いてりぶくんも微笑む。


彼らの笑顔は私の癒しだ
何よりの、医者である私の癒し。




　
いつも無表情で

何を考えているか分からないけど
優しいそらるさん。



明るくて、いつも微笑みかけてくれる
可愛いりぶくん。






彼らはどこにでもいる
優しい青年達。






ただひとつ違うのは








彼等の病気。









それも普通ではない、

一生治らない病気だ。







『あっ、そらるさん！』





「ん？」





『それ』







私が指差したのは

彼の椅子の持ち手。



もう既に氷に包まれていて

本体は鏡のような
綺麗な氷の奥に閉じ込められていた。





「あぁ…本当だ」





『全く、気を付けないと！』





「はいはい」







彼等は…奇病者。





それも、普通の人には考えられない
能力の持ち主だ。




例えば、身体から炎が出たり、


空を飛ぶ事が出来たり、


そらるさんのように
氷を作る事が出来たり


りぶくんのように
周りから光を奪うことが出来たり、等。




その種類は、奇病者の中で
多く存在する。




原因は解明されていない。

突然変異と言われているが、
実際がどうなのかも分からない。





その１０億分の１の確率で
生まれる彼等を




神の子だと崇める者もいれば、

悪魔の子だと蔑む者もいる。





ここは、そんな彼等を匿うための
特別施設だ。



…といっても、聞こえは良いが、
隔離施設のような物。



問題を起こさないように、
外出は一切禁じられた


鳥籠の中の鳥のような…






そして私は、その医者。


数少ない従業員の中の一人。







「先生、今日はなに食べる？」





『私は…んー…焼き肉定食とかかな』





「じゃー俺牛丼にしよ」





「僕はトンカツー」








でも彼等は明るく、優しく


そのへんの人間より
綺麗で、純粋で。



私は二人が好きだ。






『いただきまーす！』







こうして一緒にいられるだけで



幸せ。









な、はずだったのに。

奇病者施設 : そらりぶ○☆２→←黒と黄色の独占欲 : るすセン★※２

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